「オペレーターの応対品質にばらつきがあり、顧客からのクレームが減らない…」
「通話内容の確認(モニタリング)に膨大な時間がかかり、スーパーバイザーの業務を圧迫している…」
「『顧客の声』をサービス改善に活かしたいが、全通話を聞き返すのは現実的に不可能だ…」
コールセンター運営において、このような課題をお持ちではないでしょうか。実は、これらの悩みは「音声認識システム」を導入することで、解決できる可能性があります。
近年、AI技術の進化などを背景に国内の音声認識市場は急速に拡大しています。調査会社のITRによると、2023年度の市場規模は前年度比21.0%増の150億円に達し、2028年度には300億円を超えると予測されるなど、今まさに多くの企業が導入を進めている注目のソリューションです。
さらに、コールセンター白書2023によると「今後導入予定のITソリューション」の第1位が「音声認識システム」となっています。
本記事では、コールセンターにおける音声認識の基本から、具体的なメリット、そして導入で失敗しないためのポイントまでを徹底解説します。
この記事が解決するお悩み
音声認識システムを導入したいが失敗したくない
何に気をつけて選定したら良いかわからない
音声認識システム導入にコストをかけるほどのメリットがあるのだろうか

音声認識システムとは

音声認識システムとは、人間の声を解析して文字へ変換する仕組みのことです。コールセンターでは、お客さまとの会話をテキスト化し、コールリーズンの分析や、応対品質の評価などに活用されています。
コールセンター向け音声認識システムの主な機能
- リアルタイムテキスト化: オペレーターと顧客の会話をリアルタイムで文字に起こします。
- 感情分析機能: 声のトーンや話す速度から、顧客の満足・不満といった感情を分析します。
- キーワード・NGワード検出: 「解約」「後で」といった特定キーワードや、コンプライアンス上問題のある発言を自動で検知します。
- FAQリコメンド: 会話内容を解析し、オペレーターの画面に適切な回答候補を自動で表示します。
- 通話内容の自動要約: 通話終了後、AIが会話の要点をまとめてくれるため、後処理業務を大幅に効率化します。
コールセンターで音声認識システムを活用するメリット

なぜコストをかけて音声認識システムを導入するのでしょうか。
コールセンター白書2023によると、調査したコールセンターのうち93.3%が「音声録音システム」、つまり「通話録音システム」をすでに導入済みです。しかし、録音した音声を「業務改善」や「サービス向上」に十分活かしきれていないとの課題があります。
「お客さまとのやり取りをもっと有効活用したい」との思いから、音声認識システム導入への関心が高まっているのです。
では、音声認識システムを導入すると現場にどのようなメリットがあるのでしょうか。
応対履歴の分析が簡単になる
これまでは応対履歴の分析をするために、通話録音データを一つ一つ確認しなければなりませんでした。しかし音声認識システムを活用すれば、応対履歴は自動で文字起こしされ、生成AIによって要約されます。キーワード検索も可能なので、チェックしたい箇所の音声だけを聞くこともできます。応対履歴の分析が飛躍的に簡単になります。
最新の音声認識システムは、お客さま側に雑音があってもノイズキャンセリング機能でしっかり会話を聞き取ってくれます。電車の騒音や、子供の泣き声に邪魔されて会話の内容をテキスト化できないということがありません。
応対時間の短縮
お客さまとの会話がリアルタイムで文字起こしされるため、オペレーターは必要事項を正確に聞き取ることができます。再度聞き返す必要がないので、応対時間が短縮され、顧客満足度も向上します。
通話内容の自動要約機能を使えば、手作業での入力が不要になり、後処理(ACW)の時間を大幅に削減できたという事例もあります。これにより生まれた時間で、オペレーターはより丁寧な顧客対応に集中できるようになります。
コールリーズンの分析が簡単になる
AIが会話を分析し、トピックごとにタグを自動生成してくれます。そしてタグごとの頻出度合いを測定し、顧客の需要や課題を知ることができるようにします。
顧客感情を把握できる
テキスト化された情報からお客さまの感情を予測できます。お客さまがこちらの対応にストレスを感じているのか、どの程度のフラストレーションを抱えているのかを予測します。結果として、不必要なクレームを未然に防ぐことが可能です。
後処理業務を効率化できる
お客さまとの会話がテキスト化されるため、後処理業務の時間(ACW)が短縮されます。最新の音声認識システムには生成AIによる通話要約機能が搭載されているので対応履歴の入力時間を大幅に削減できます。
オペレーター研修の質が向上
優秀なオペレーターとお客さまのやりとりがテキスト化されるので、新人オペレーターのスキル習得時間を短縮していけます。
たとえば、トップセールスを記録するオペレーターの会話をテキスト化・分析することで、その優れたトークスキルを「勝ちパターン」として可視化できます。これを基にトークスクリプトを改善したり、新人研修の教材として活用したりすることで、組織全体の応対品質を底上げしていくことが可能です。
カスハラ防止になる
最新の音声認識システムには、顧客感情をテキストから感知する機能が付いています。さらに、カスハラに相当する危険な表現を感知する機能も搭載されています。そのためオペレーターをカスハラや過度なクレームから守ることができます。
コンプライアンスの遵守がしやすい
オペレーターがNG表現を使っていないかを検知できます。お客さまが不快に感じるような表現や偏見・差別に相当する表現が使われていないかを自動でフォローしていけます。
デメリットと導入の注意点
多くのメリットがある音声認識システムですが、導入前に知っておくべき注意点も存在します。
- 注意点1:一定の導入・運用コストがかかる
- 導入形態や機能によって費用は様々です。複数のサービスを比較検討することが重要です。
- 注意点2:認識精度は100%ではない
- 専門用語が多い、強い訛りがある、周辺の騒音が大きいといった環境では精度が落ちる可能性があります。そのため、無料トライアルで自社の環境でどの程度の精度が出るかを確認することが不可欠です。
- 注意点3:導入して終わりではない
- テキスト化されたデータを分析し、応対品質の改善やサービス改善に繋げるための運用体制やルール作りが成功の鍵を握ります。
では、実際に音声認識システムを導入する際に、失敗しないためにはどんな点を比較したら良いでしょうか。
コールセンターへ音声認識を導入する際に失敗しないための比較ポイント6つ

「現場で使いやすい」「分析が簡単」「ずっと使える」音声認識システムを選定し、導入するにはどうしたら良いでしょうか。製品選定で失敗しないために覚えておきたい6つのポイントを紹介します。
1. 音声認識の精度
音声認識の精度に注意するとは、エラーがどれだけ少ないかをチェックするということです。文字の誤り率(CER)や、単語の誤り率(WER)がどれくらいかを確認しましょう。
ベンチマークとして基準にできる音声認識システムは以下の通りです。
- AmiVoice
- Google Cloud Speech-to-Text
- OperAI Whisper
- Azure Speech Service
上記のシステムより「エラーが多いか少ないか」を判断基準とすることができるでしょう。
音声認識の精度を測定する際に注意したい点は、雑音や騒音がある場合を想定することです。お客さまが「駅でコールセンターに問い合わせる場合」や、「街中のお店から問い合わせる場合」を想定して、CERやWERを測定してください。
▶️日本語の文字誤り率が低い音声認識システム「Namitech」
2. データ分析のしやすさ
音声認識システムを導入する目的の一つは、データ分析です。データ分析が簡単な製品を選んでください。
データ分析がしやすい製品には、以下のような特徴があります。
※イメージしやすいように弊社が提供する音声認識システム「Namitech」の画像を使用しています。
キーワード検索ができる

会話内容を特定のキーワードで検索できます。検索結果をクリックすると音声も聞けます。
トピック分類が可能

会話を解析し、自動でタグを付け、カテゴリ分けしてくれます。
通話詳細の確認に対応

過去の会話履歴をテキストで確認できます。クリックすれば音声を聞くことも可能です。
オペレーター評価ダッシュボードがある


タグ別の通話数、顧客満足度などをグラフや数値で表示してくれます。
3. 導入&運用コスト
導入コストだけでなく、導入後に生じる運用コストを考慮するようにしましょう。音声認識システムには、扱う業務に最適化するためにチューニング作業が欠かせません。チューニングにどれくらいのコストが必要か確認してください。
4. 雑音への強さ
前項で少し触れましたが、雑音に強いかどうかを必ずチェックしてください。音声認識システムの弱点は雑音です。
お客さま側の雑音に加え、オペレーター側のポップノイズやキーボードを叩く音などが邪魔して文字誤り率を悪化させることがあります。
コールセンターに適している音声認識システムは、ノイズリダクション機能が強い製品です。
ノイズリダクション機能が強いかどうかは、以下の点を考慮して判断すると良いでしょう。
- Teams−ビデオ会議機能に搭載されているノイズキャンセリング機能と比べてどうか
- Krisp−優秀なノイズキャンセリングアプリケーションと比べてどうか
- WebRTC−ブラウザ上で作動するノイズキャンセリングサービスと比べてどうか
最新の音声認識システムは、AIを活用してノイズリダクションを行なっています。導入の際には次に挙げるノイズリダクション機能が搭載されているか確認してください。
- ノイズフィルター−お客さまとオペレーターのノイズをリアルタイムで削減
- エコーの抑制−室内で響く声のエコーを抑制してくれる
- HD音声に対応−高品質のHD音声を提供可能
- 欠落箇所の穴埋め−データの送信中に欠落した箇所を自動で穴埋めしてくれる
- 音声補正−AIが話者の声の特性を見極め、補正してくれる
事故受付をするコールセンターでは、お客さまの声が聞き取りにくいことがあります。道路の路肩から通報が入ると騒音がひどく、何度か聞き返さなければ正確な情報を得られないことがあるでしょう。AIノイズリダクションを搭載した音声認識システムはそのような状況で威力を発揮します。
▶️ノイズに強い音声認識システム「Namitech(ナミテック)ソリューション」
5. インストール先が豊富か
せっかく導入するのであれば、いろいろな場所で使える方が有効活用できるでしょう。一つのシステムで以下のような使い方ができる製品を選んでください。
- オンライン会議ツール(zoomやTeamsなど)と連携できるか
- クラウド型コンタクトセンターシステムと連携できるか
- オンプレ型コンタクトセンターシステムと連携できるか
6. 声紋認証に対応しているか
最新の音声認識システムは、声紋認証の機能も搭載しています。AIがお客さまとオペレーターの会話を解析し、自動で顧客の声紋を登録、そして声紋認証もしてくれます。
一つの声紋認証機能を、以下の箇所で運用できると使い勝手が良いでしょう。
- 自社サーバー
- クラウド上
- ユーザーのデバイス(スマートフォンなど)
コールセンターが声紋認証を活用するメリットは以下の通りです。
セキュリティ強化−不正防止を自動化できるので顧客を保護できる
本人確認の時間短縮−お客さま情報を確認する時間の短縮が可能。パスワード忘れによるリセットの時間なども短縮できる
他社との差別化−顧客へ負担をかけない本人確認ができるためブランド評価を向上できる
カスタマーエクスペリエンスの向上−パスワードやセキュリティ質問を覚える必要がなくなる
カスハラ防止−声紋でブラックリストに入っている顧客を瞬時に特定できる
▶️声紋認証ができる音声認識システム「Namitech」
【PR】コールセンター特有の「ノイズ」と「専門用語」に強い音声認識なら

「自社のコールセンター環境でも本当に高い精度が出るのだろうか?」
「業界特有の専門用語を正確に認識してくれるか不安…」
そのような課題をお持ちでしたら、弊社が提供するコンタクトセンター特化型 音声AIソリューション「NamiSense(ナミセンス)」をぜひご検討ください。
「NamiSense」は、コールセンターのような雑音の多い環境下でも業界トップレベルの日本語認識精度を誇る点が最大の強みです。
実際に、電車内の騒音下におけるテストでは93.57%という高い認識率を記録。文脈を理解する独自のエンジンで、専門用語や固有名詞も的確に捉えます。
「まずはその精度を、自社の環境で確かめてみたい」
そのようなご要望にお応えするため、「NamiSense」では通算50時間まで無料でお試しいただけるトライアルをご用意しています。ぜひ一度、その“違い”を体感してください。
▼「NamiSense」のサービス詳細はこちら
https://namitech.cba-japan.com/namisense/
▼50時間無料トライアルを試してみる
https://namitech.cba-japan.com/#contact
最後に
ほぼ全てのコールセンターに導入されている音声録音システム。しかし音声録音システムだけでは、コールリーズンの分析、お客さまの感情分析などが効率的に行えません。
そこで注目されているのが音声認識システムです。最新の音声認識システムを導入すると、お客さまの問い合わせ内容の分析に加え、後処理時間の短縮や研修の質を向上させるなど業務効率化のメリットがあります。
業界全体で導入が進む音声認識システムですが、「どの製品を選んだら良いか分からない」ときには本記事の比較ポイントを参考にしてください。
通話録音システムの次に必須な音声認識システムを活用して、真のカスタマーエクスペリエンスを実現していきましょう。
