無料のソフトフォンについては、「コールセンターで使えるソフトフォン10選ーWindowsパソコンの中の電話機」をご覧ください。

また、弊社がコールセンターシステムの業務運用としてお勧めしている製品についてはこちら下記をご覧ください。

無料で使えるオープンソースIP-PBX8つを紹介する前に、無料のIP-PBXとは何か、運用の際にどんな注意点があるかを説明していきます

コールセンターの比較の仕方

無料のIP-PBXとは

無料のIP-PBXとは、IP-PBX(電話交換機)をサーバにインストールして設置すると、社内の電話システムを構築できるものです。さらにコールセンターの仕組みを無料で作り上げたり、リモートワーカーも含めた内線システムを組むことも夢ではありません。

社内のローカルネットワークとインターネット回線を組み合わせて使用でき、そこに音声や動画を通します。サーバーを立て、インストール・設定をしてはじめてみると案外楽しいものです。コールセンターのように電話を順番(ランダム、待ち時間の長い順、名簿順、などなど)にオペレータに回すようにしたり、自動応答装置(IVR)でプログラミングしたり、電話を使った面白いシステムを組むことができます。

弊社チームでも、新入社員の方には一通り、PBXの基礎を学んでもらい、フリーに使えるPBXを自分でインストールして通話ができるところまで組んでもらったりします。ただ、「システムをセットアップできる」ことと、「実際に運用し、メンテナンスを続ける」というのは全くの別物です。社内のインフラとして動き出すと、それは止めるに止められない、停止してはいけない、重要な会社の骨格、インフラになるからです。

注意書き:運用は簡単ではありません。

実際の業務で使い始めると、次のような事象が発生する可能性があります。往々にして、親切にサーバを「設定した人」が結局、対応に当たらないといけなくなる、という例を幾つも見てきました。

・電話がつながらなかった。原因の究明が必要になる
・音質が悪い、というユーザーからの問い合わせが来る
・新システムでどうやって電話をかければ良いのかという社内トレーニングが必要になる
・自動応答のフローを変更したい。明日は祝日なのでメッセージを流したい
・IVR(自動応答装置)で予想外のメッセージが流れた。(急に「グッバイ」と英語が流れる、とか・・・。)
・電話番号***はブロックしてほしい、という依頼が来る
・電話機ソフトの設定が分からない、間違っているかもしれない
・ボイスメールになってしまう/ボイスメールにならない
・定期的に原因不明の理由で通話のチャンネルロックが発生したり、システムが壊れたりし、全体で使用不可になり、リブートが必要になる
・セキュリティ・システムのアップデートがあって適用しないといけない
・アップデートを適用するために深夜に作業しないといけない
・アップデートを適用したら壊れた/動かない機能が出た
・正規の通信に交じって、謎の電話番号をえんえんと送ってくるセキュリティアタックが毎日やってくる
・かけた覚えのない国際電話で月に200万円の通話料の請求が来た
・いたずら電話のような、リンギングが散発的に発生する
などなど・・・・。

そして、色々な問い合わせに対応し、解決するための頼みの綱となる情報はオンラインで見つけることも可能です。しかし、、、

解決のために見つかる情報は、英語だけ!

解決策が見つかるのは英語のサイトだけ、なんてことも珍しくありません。弊社に問い合わせをいただく方の中には、「Google翻訳」を片手に技術サイトを読んで作業されている、という方が少なくありません。
弊社のサポートサービスで、「もう英語サイトを読まなくてよいんだ・・・」とホッとされている場面が何度もあります。

CBAのチームにおまかせください。

CBAでは15年間、ほぼあらゆるPBXをテスト、試運転、実稼働させてきたチームが日本にあります。大小様々なコールセンターを安定稼働させるために、日夜働く心強いメンバーがそろっていますので、業務案件はお気軽にご相談ください。

IP-PBX主要一覧を紹介

前置きはこれくらいにしまして・・・。IP-PBX主要一覧を紹介していきます!

FreePBX(フリーピービーエックス、Asteriskベース)

https://www.freepbx.org/
今、Asteriskベースのいちばん熟成したプロジェクトと言えば、こちらのFreePBX(フリーピービーエックス)です。元々はPHPでAsteriskのGUI(管理画面)を作るプロジェクトとしてスタートしましたが、ほぼすべてのGUIを書き終わり、Asteriskも同梱した iso ファイルも準備するようになってから、オールインワンのソリューションの提供元となりました。
現在はテレフォニーボードを作っているSangomaの傘下に入り、業務利用もできる製品としてクオリティもますます上がっています。弊社も認定リセラーになってからかなりの年月が経過しており、現在もお客様に提案する一つのソリューションとなっています。

FusionPBX(フュージョンピービーエックス、FreeSwitchベース)

https://www.fusionpbx.com/
こちらは、後発のFreeSwitchベースのPBXです。単純な性能比較で言うとFreeSwitchはAsteriskの改良版とも言えるので、こちらのほうがパフォーマンスは良いと言えます。
ただIVRの組み方や日々のメンテナンス性を考えると、FreePBXときちんと比較してから導入を決めたほうが良いと思われます。マルチテナントに対応が必要だったり、クラウド稼働の安定性などを重視する場合には、こちらを選択するという方向性もありえます。

Kazoo(カズー、FreeSwitchベース)

https://www.2600hz.org/
テレコムキャリアレベルの電話基盤をオープンソースで作るとどうなるか、を追求しているプロジェクトです。FreeSwitchを部品として使用し、VoIP基盤としてクラウド上でスケールする仕組みを構築できます。
こちらの管理画面、ユーザ画面については、この基盤のAPIを使用した場合のサンプル・デモ画面のようなものであることは否めません。実際に業務で使用する場合には、GUIの独自開発が必要になるでしょう。
“2600hz”という名前や”Blue.box”というプロジェクトを最初にスタートさせていたことからも、ギークによるこだわりのプロジェクトなことが分かります。また、元々、電話基盤の開発のためにエリクソンが作ったErlangという並行処理、分散処理に優れた言語をシステム記述に採用しています。
http://blog.2600hz.com/why-erlang

Incredible PBX(インクレディブルピービーエックス、PBX in a Flash)(Asteriskベース)

https://wiki.incrediblepbx.com/HomePage
15年前には、”Asterisk@Home”というコミュニティプロジェクトが話題になり、trixbox(トリックスボックス)というプロジェクト名になって大成功しました。その後、trixbox は trixbox CE(コミュニティエディション)と、trixbox Pro(業務用エディション)に分かれ、Fonalityという企業ベースでの製品になりました。
弊社CBAは、trixbox Proを日本で広める業務をその後続け、日本のコールセンターでもかなりの拠点で採用されています。trixbox事業はFonalityからNetfortrisに移りましたが、元々のコミュニティーベースのAsteriskディストリビューションについては活動が停止した状態になりました。
その後、同じようなオープンなディストリビューションを作っているプロジェクトとしては、こちらの incrediblepbx になるかと思います。息の長い、「オープンなコミュニティーで続ける手作りPBX」プロジェクトになっています。

Issabel(イサベル、ElastixオープンソースからのFork、Asteriskベース)

https://www.issabel.org/
(https://www.elastix.org/)
ラテンの香りのするAsteriskディストリビューションとして、「Elastix」というオープンソースプロジェクトがありましたが、現在は3CX傘下に入ってしまいました。Elastixのオープンソース版のプロジェクトのフォークとして、Issabelというプロジェクトが立ち上がっているようです。

MIKOPBX(ミコピービーエックス、Asteriskベース)

https://www.mikopbx.com/
組み込みPCを含めた様々な機器で動作するAsteriskベースのPBXを目指す、Askozia(アスコジア)PBXというクローズドな開発の商用製品がかつて存在していましたが、その時の開発チームのメンバーが立ち上げたオープンソースPBXのプロジェクトだそうです。機能がコンパクトにまとまっていて、クラウド、仮想環境、アプライアンスなどの様々な環境での動作が意識されています。ページの各所にAskoziaのキーワードが記載されているのも感慨深いプロジェクトです。

yate (ヤテ、C++)

http://www.yate.ro/
こちらも古くからあるテレフォニーエンジンです。メジャーになったことはありませんが、はるか昔に存在したBayonne(https://www.gnu.org/software/bayonne/)の流れを組む枯れたプロジェクトです。(日本でもBayonneで書かれた業務システムを見かけたことがあります。)

OpenSips/Kamailio

OpenSERという「何でもできるSIP Proxy」がフォークし、OpenSipsとKamailioの2つのプロジェクトに分かれて成長しています。高機能なのでPBXのような使い方もできます。
SIP Proxyとしてメディアの処理を外部にまかせる設計になっているので、Asteriskなどと比較すると、呼処理だけを見れば、キャリアグレードの桁違いのコール数を処理できます。SIPの知識は必要になります。

OpenSips(オープンシップス)
https://opensips.org/

Kamailio(カマイリオ)
https://www.kamailio.org/

オープンソースではないがフリーウェアとして使えるIP-PBX

とにかく楽をして電話システムを作りたい、という場合には、オープンソースではないが、フリーウェアとして使用できるものを採用する、という方法もあります。

3CX(スリーシーエックス)
https://www.3cx.jp/

Mizutech PBX FOR WINDOWS(ミズテック)
https://www.mizu-voip.com/Software/VoIPServer/WindowsPBX.aspx

Portsip(ポートシップ)
https://www.portsip.com/download-portsip-pbx/

VBVoice
Visual StudioでDialogicテレフォニー製品のコントロールができるミドルウェアの中にも、PBXの機能を持つコントロールが含まれています。
開発時には、ライセンスがなくても時間限定で動作させることができます。
https://cba-japan.com/vbvoice/

過去にはこんなものがあった

弊社にとっては懐かしいプロジェクトです。
trixbox CE(トリックスボックスシーイー、コミュニティーエディション、Asterisk)
https://sourceforge.net/projects/asteriskathome/

有償版の trixbox Pro(トリックスボックスプロ) に関する弊社のノウハウ情報などは下記にまとめてあります。
http://trixbox-faq.cba-japan.com/

それでも、どうしてもPBXをレンタルサーバー(など)に自分で立てたいんだ~という方は、ぜひこちらのサイトもご覧になることをお勧めします。
大事な情報が掲載されています。

voip-info.jp
メインページ

テレワーク関連に対する注意喚起
安直にサーバを立てないでください
DNSへのアタックに注意
SIPポートへの攻撃についてご注意下さい

「Asteriskでコールセンターを13年間運用してみた」もよろしければどうぞ。

VIVRとは何かを解説