生成AIの急速な進化により、コールセンタービジネスは今、大きな転換期を迎えています。

事実、AIを利用しているコールセンターの割合は、2023年の13%から、2024年には41%へと大きく伸長しています(参考:コールセンター白書2024)。

近年、とくに注目されているのが「AIエージェント」の実用化です。今やAIエージェントの導入は、一部の先進企業だけではなく、業界全体に広がり始めているのです。

では、AIエージェントはどのようにコールセンター業界の収益や市場の拡大につながるのでしょうか。その可能性を探っていきます。

海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、18年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。

この記事が解決するお悩み

「AIエージェントの導入って今やるべき?」

「AIエージェントのせいで売上が減るんじゃない?」

「AIで新しい市場って拡大できるの?」

 

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AIエージェントの導入って今やるべき?

まずAIエージェントとは何なのでしょうか。AIエージェントは現在注目されていますが、研究者の間でも明確な定義はまだ確立されていません。議論の余地はあるものの、「自律的な問題解決能力」と「行動力」がその核となる特徴と言えるでしょう。

海外での普及状況

アメリカではAIエージェントの活用がすでに進展しています。成人の49%が過去1年間にAIチャットサービスを利用しています。またカスタマーサポート市場は年平均成長率34.5%で拡大しており、市場規模は7.7億ドルに達しています(参考:market.us調査)。

国内での普及状況

日本国内でも徐々に浸透が進んでいます。大企業に所属する人の5人に1人がAIエージェントを利用しており、67%の大企業がAIエージェントに対してポジティブな姿勢を示しています(参考:「AIエージェントについての調査」)。
現在は大企業を中心に導入が進んでおり、今後さらに普及が拡大すると予測されています。

参考情報:コールセンターで活用しやすいAIプラットフォーム「GIDR.ai

 

 

AIエージェントがもたらす収益拡大の可能性

「でも、AIエージェントのせいで売上が減るんじゃない?」と心配になるかもしれません。たしかにAIエージェントがオペレータの代替となっていくことで、BPO企業の売上減少を懸念する声がありますが、実際には収益拡大のチャンスとなり得ます。

以下の4つの視点からその可能性を解説します。

1. サイレントカスタマーの発掘

「96%のユーザーはプロダクトに不満があっても問い合わせをしていない」という機会損失が存在します。いわゆるサイレントカスタマーです。AIエージェントならユーザーの行動を分析し、Web上での「困りごと」を察知して適切な情報を提供していけるでしょう。いわばパーソナライズされた情報を提供できるのです。これにより、従来アプローチできていなかった潜在顧客層へのリーチが実現できます。

2. 顧客体験の向上とLTVアップ

AIエージェントは24時間365日お客さまの応対ができます。たとえば、損害保険業界においては、事故受付から保険金請求までの自動処理が24時間365日可能となるでしょう。また多言語対応機能により、海外顧客へのスムーズな対応も実現できます。AIエージェントによる顧客満足度の向上は、サービス継続率の向上とLTV(顧客生涯価値)の増加につながっていきます。

3. 有料化による売上構造の見直し

一次対応をAIエージェントが担当し、より複雑な対応は「プレミアムプラン」として有料の人間オペレータによるサービスを提供する構造が可能となります。「無料のAIサービス」「有料の人間によるプレミアムサービス」というカテゴライズをすることにより、収益モデルの再構築が実現できます。

4. 急増するコールへの即時対応

AIエージェントは災害時やキャンペーン期間中など、一時的に問い合わせが急増する状況でも柔軟に対応できます。人間のオペレータで必要となる「増員コスト」や、「時間的制約がない」点が大きな強みとなります。

AIエージェントが開く市場拡大への2つの道

AIエージェントの活用は新たな市場創出にもつながります。以下の2つの方向性から市場拡大の可能性を説明します。

1. サブスク型AIエージェントサービス

自社開発したAIエージェントをOEMとして外部企業に提供し、サブスクリプション型の新ビジネスを展開することができるでしょう。これによりコールセンターの枠を超えた新たな収益の柱を構築することが可能となります。

2. 音声以外のBPO領域への進出

FAQの自動管理やAIボイスチャットによる高齢者支援、インバウンド対応といった新領域への展開も可能です。これにより既存の音声通話にとらわれない、より幅広いBPO戦略を描くことができます。

参考情報:コールセンターで活用しやすいAIプラットフォーム「GIDR.ai

 

 

最後に

国内外で進むAIエージェントの活用は、BPO企業にとって避けられないトレンドです。 しかしそれは、単なるコスト削減ではなく「収益拡大」と「市場拡大」という大きなチャンスでもあります。

これからのコンタクトセンターに求められるのは、“AIと人”が共存しながら、より高い顧客体験を実現することです。共にこの新しい未来を築いていきましょう。

株式会社コミュニケーションビジネスアヴェニューでは、AIに関する専門知識と製品を提供し、お客さまのビジネスの成功をサポートいたします。業務効率化や顧客満足度の向上について、お気軽にご相談ください。