現在「生成AI」は、文章の作成や要約、翻訳、画像アイディアの生成、簡単なコミュニケーションといったシーンで積極的に活用されています。ビジネスシーンにおいては、FAQの作成・要約やチャットボットによる自動顧客対応などが実用化されはじめました。AIによる業務処理の効率化や顧客対応の自動化が熱望される一方、生成AIのベストな活用法は各企業や業界によりさまざまです。
この記事では、生成AIを活用できるシーンについて幅広く案内しつつ、生成AIのビジネス活用において押さえておきたい4つのポイントや、企業が導入を始めているプラットフォームの紹介をしていきます。生成AIの導入と活用を検討する際に、ぜひ参考にしてください。
海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、18年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。
この記事が解決するお悩み
生成AIをビジネス活用したいけど、活用シーンが具体化できず導入に踏み出せない
機密データを扱う業界にいるので、AI活用そのものに抵抗感やハードルの高さを感じる
生成AIのビジネス活用の可能性
生成AIのビジネス活用といえば、具体的にどのようなシーンでの活用が期待できるのでしょうか。文章生成や要約といった代表的な活用例から、意外と注目されていない活用例まで幅広く紹介していきます。
顧客対応
生成AIの活用においてもっとも代表的なシーンが顧客対応です。チャットボットや自動電話応対によるカスタマーサービスの自動化は、ChatGPTをはじめとした最新の生成AIの登場に大きく起因しています。
「AIさくらさん」のように、最新の生成AIがアバターによって可視化され、よりリアリティのあるバーチャル接客が実現している例もあります。「AIさくらさん」は、すでに多くの大手企業や自治体などに導入・実用化されており、まさに生成AIによる顧客対応の変革を起こしています。
ナレッジマネジメント
「ナレッジマネジメント」は、1990年代初頭に端を発する経営理論です。社内で管理されているあらゆる情報・知識、ノウハウを知的資産として共有し、新たな創造的仕事へと繋げていくことを目指しています。
生成AIの登場により、社内で管理しているあらゆるナレッジを自動で検索・参照することが可能となりました。AIによるナレッジマネジメントができていると、顧客向けFAQの作成やチャットボットへの応用が期待できます。
ナレッジマネジメント専用のツールが存在する中、あえてAIで管理することにはメリットがあります。AIを活用すると、より的確なナレッジを抽出したり、関連するナレッジを要約した上で参照したりすることができるのです。
とくに、「部署ごとの資料が大量にある」「ナレッジを社内で共有できずにサイロ化している」といった課題がある企業には生成AIによるナレッジマネジメントがおすすめです。
▶ナレッジマネジメントが得意な、法人向けAIプラットフォーム「GIDR.ai」
FAQ作成や要約回答
意外と時間がかかる上、回答の正確性や明瞭性が求められるFAQの作成と見直し。FAQ周りに生成AIを活用すると、これまでの問い合わせ履歴をもとに質問文と回答文を瞬時に生成することができます。完成したFAQをもとに要約回答することも可能なので、AIの活用シーンとしてかなり効果的と言えるでしょう。
議事録や報告書の作成、要約
「会議以上に時間がかかる」とすら言われる議事録作成や、報告書音作成。この分野にAIが活かされていると、録音ファイルを生成AIに読み込ませ、議事録を自動で作成してもらうことができます。議事録作成に割いていた時間を、内容の分析やブラッシュアップといった分野へ回していけるのです。
- 誤字脱字チェック
- 文章やテキストデータのコンプライアンスチェック
- 翻訳
- 感情分析
- カスタマーハラスメントへの対策
最新の生成AIツールを活用すると、LINEボットを作成できたり、類語を抽出してより的確な資料を検索できたりします。また、さまざまな業界で問題視され対策が進んでいるカスタマーハラスメントへの対策・対応も実用化されはじめています。日に日に成長している生成AIの可能性は無限大です。
生成AIのビジネス活用でおさえたいポイント4つ
生成AIの展望が明るいとは言っても、まだまだ生成AIそのものに課題が残っていたり、業界ゆえに生成AIの本格活用が難しかったりする実情は無視できません。ここからは、生成AIの導入を考えるにあたり押さえておくべき4つのポイントを紹介します。
拡張性
生成AIを導入するにあたって、「思ったより活用できなかった」「他のツールとの相性が悪い」といった事態は回避したいものです。ツールを選ぶ際には「拡張性」を事前に確認するようにしましょう。たとえば、API化されていて、各種LLM・CRM・チャットボットなどと連携できるかどうかが目安になります。
セキュリティ
金融、保険、教育、医療業界といった機密性の高い情報を多く扱う業界にとって、生成AIの活用はセキュリティ上のハードルを感じるかもしれません。そこで、機密性の高い情報を扱う企業や部署においては、機密情報のマスキング機能をもつプラットフォームを活用するのが安心です。あるいは、マスキング用のAIツールを併用したり、ローカル環境での利用に切り替えたりできるツールを選ぶのが良いでしょう。
▶マスキング用AIツールの例:https://privacy-masking.userlocal.jp
根拠・ロジックの透明化
生成AIの注意点として、コンテンツ生成時の根拠やロジックのブラックボックス化があります。どれだけ効率的に資料作成ができたとしても、その資料に信頼性がないのであれば、ビジネス活用していくには大きなリスクが伴います。
そのため、Perplexityのような情報源を提示するツールを使用したり、RAG技術をもつツールを活用したりすると、信頼性を担保した上で生成AIを活用することができます。
サポート体制
生成AIによって実現できることが日々増える一方、生成AIによって企業が実現したいことも刻一刻と変化します。また、生成AIが企業の期待通りに機能するには、いわゆるセットアップにある程度のスキルや知識、時間が必要です。
常に最新かつ企業のニーズに応えられるAIを使い、その効果を最大限にするためには、ベンダーによる専門的なサポートがポイントとなります。サポート体制が整っていて、ユーザーと伴走してくれるベンダーであるかどうかを確かめるようにしましょう。
製品の売り切りをしているベンダーを選ぶ場合、初期コストを低く抑えることはできるかもしれません。しかし、長く同じツールを使っていくのであればリスクのある選択肢であることを忘れないでください。自社のAI人材やそのスキルなどを考慮しながらベンダーとツールを選ぶことがポイントです。
ビジネス活用に向いている生成AIプラットフォーム3選
生成AIを本格的にビジネス活用するにあたり、おさえておきたい4つのポイントを説明しました。最後に、ビジネス活用に向いている3つの生成AIプラットフォームを紹介します。
GIDR.ai (ガイダーエーアイ)
企業が、AIを安全かつ効果的に活用していくために設計された「法人向け生成AIプラットフォーム」。
API化されているため、「社内のいろいろなシステムをAI化したいがどうしたら良いかわからない」といったニーズにも答えられる。
特許取得済みの「抽出・分類プロセス」を活用して、さまざまな情報やコンテンツを構造化できるマルチモーダル対応。RAG技術を採用しており、ハルシネーション対策がしやすい。
セキュリティ機能が高く、AIが学習する情報と生成する情報にマスキングが可能。
多機能RAGアプリケーション
RAGの利便性や精度を高める複数技術を実装したソリューション。
RAGにありがちな「大量の文書の中から必要な情報を検索できない」「文書中のグラフなどの視覚的情報を読み取れない」「複数の問いを含む複合的な質問に回答できない」といった課題に対し、「サブクエリ検索」や「2段階検索」によってアプローチしている。
Watsonx
クラウドだけでなくオンプレミスで環境を提供できるビジネス向けのAIプラットフォーム。
アプリケーションやチャットボットにAIを組み込むことも、SAPやSalesforceなどの他社製品と連携することも可能。用途や場面に応じて、軽量のモデルを使い分けていけるのが特徴。IBM独自のモデルによって、データの信頼性や偏見の有無などを事前に確認できるようになっている。
最後に
生成AIのビジネス活用は、チャレンジ精神だけで始められるものではありません。最新の技術だからこそ、大きなメリットがあると同時にさまざまなリスクを秘めているからです。しかし、あらゆるビジネスシーンにおいて、AIによる効率化や課題へのアプローチが見込まれています。
生成AIの可能性が無限大だからこそ、他社には見つけられなかった活用法を自社では見つけられたり、あまり価値を認められなかった活用法が自社では非常に効果的な活用法になったりするかもしれません。
決して焦らず、自社にとってもっとも安心かつ実用的なAIツールを見つけながら、ビジネスシーンにおける生成AIを最大限に活用していきたいものです。