顧客満足度の維持・向上において、オペレータの応対品質は大変重要です。コールセンターは、顧客接点の最前線であると同時に、人事異動や離職などで人の出入りが多く発生する部署です。

そのため、慢性的な人材課題も相まって、応対品質を高水準で均一化することは難易度が高いと言えます。

この記事では、大きな人材課題として2つをピックアップしつつ、課題に対処しながら応対品質を均一化する3つの方法について紹介します。ぜひ参考にしてください。

海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、18年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。

この記事が解決するお悩み

コールセンターの業務内容が多様化・複雑化していて、オペレータに求められるスキルや対応力が高度になっている

SVやQAの負担を大きくすることなく、応対品質を高水準で均一化したい

 

 

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コールセンターが直面している2つの人材課題

コールセンターが直面している人材課題はいくつもありますが、主な課題として2つに絞って考えていきましょう。

高い離職率

1つ目の課題は高い離職率です。

コールセンターは離職率の高い業種として知られていますが、実情はどうでしょうか。「コールセンター白書2024」から、「オペレータ全体の離職率」と、「新人スタッフの離職率」について以下のグラフで比較します。

オペレータ全体の離職率と新人スタッフの離職率は、どちらも「5%以下」が44%あるいは43%と決して高い離職率ではありません。一方、「21〜30%」が18%、「31%以上」が16%と、全体の離職率に比べて新人の離職率は高い傾向にあります。
出展:「コールセンター白書2024」

「オペレータ全体の離職率」と比較すると、「新人スタッフの離職率」の「21〜30%」が18%、「31%以上」が16%と、高い傾向があることが見えてきます。

離職についてさらに絞り込むと、「新人オペレータの早期離職」が課題になっていることがわかるでしょう。

同書による「今後実施予定の既存スタッフに対する離職予防施策」の調査では、「研修など人材教育プログラムを充実させる」(32.4%)が最多の回答となりました。

新人スタッフの早期離職を防止するため、オペレータの教育や研修、フォロー体制の強化といったニーズが高まっていると言える調査結果です。

新人/ベテランに関わりなく、一般的にオペレータの離職には以下のような理由が列挙されます。

  • 煩雑な業務
  • クレーム対応への疲弊
  • ノルマ未達によるストレス
  • 覚えることが多すぎる

オペレータ業務への疲弊や、オペレータとしての自信の低下は、離職率へと直結します。オペレータの早期離職防止には、技術的および精神的なフォローと幅広いサポートが必要だと言えるでしょう。

優秀なオペレータの減少

2つ目の課題は優秀なオペレータの減少です。

コールセンターのオペレータ業務は年々複雑化していますが、くわえて最近は、コールセンターの業務範囲が拡大傾向にあります。

コールセンタージャパン2025年3月号」には、「業務範囲の拡大に対応しながら、品質を維持・向上することに苦労している」という現場の声が指摘されています。

コールセンターの業務範囲拡大や、企業によるサポート内容の多様化を背景として、各オペレータに求められる業務やスキルは高度化を極めています。結果として、「優秀なオペレータ」の確保がより重要です。

一方、慢性的なオペレータ不足の一要因として、オペレータの採用・育成がますます厳しくなっています。手間や時間といったリソースが別の課題として立ちはだかるからです。

また、離職率が高い職種において優秀な人材に定着してもらうのは非常に難しいと言えます。

人材課題がもたらす大きなデメリット

2つの人材課題はいずれも慢性化していて、すぐに解消できるものではありません。また、2つの課題が掛け合わさると「優秀な人材の離職」というさらに大きな課題を生み出します

高い離職率と優秀なオペレータの減少、そして優秀な人材の離職…これらの人材課題は「応対品質のばらつき」を引き起こし、顧客満足度を低下させる一要因となります。

応対品質のばらつきは、部署内の評価のみならず企業体のイメージダウンにつながるので、大きなデメリットであり無視してはいけない現象です。

応対品質を均一化する3つの方法

一筋縄では解消できない複数の人材課題に対処しながら、顧客満足度を低下させないためには、応対品質を高水準で均一化することがポイントとなります。では、どのように応対品質を評価し、均一化に取り組めば良いのでしょうか。

応対品質を評価する上で活用される項目は主に5つあります。

  1. 正確性:正確な商品・サービス知識や、情報を提供できているか
  2. スピード:お客さまが必要としている情報やサポートを迅速に提示できているか
  3. 関係性:声のトーンや寄り添い方など、お客さまと良好な関係を構築できているか
  4. 提案力:マニュアル通りの回答だけでなく、さらに顧客のニーズやインサイトに踏み込んだ回答や提案、質問ができているか
  5. ルール・マナー:不快感を与えない丁寧な言葉遣いや、正しい敬語、センター内でのルールが守れているか

ここからは、上記の全項目を維持・向上しながら、応対品質の均一化を目指せる策を3つご提案します。

1. トークスクリプト

トークスクリプトには、正しい話し方や言葉遣いといった基本的な電話応対のほか、さまざまな場面に適した対応方法が記載されます。

そのため、ルール・マナーに準拠しつつ、お客さまへスピーディーかつ正確に回答・提案することができます。また、お客さまに伝えるべき注意点や、提案しておくべき内容の漏れ・ミスなどを防止する点でも効果的です。

スクリプトに沿って会話を進めれば、オペレータ歴や社会経験の長さに依存することなく一定レベルの顧客対応が実現できるのです。

顧客対応において必要不可欠な会話要素をトークスクリプトでフォローできるなら、オペレータは顧客とのコミュニケーションそのものに集中しやすくなります。結果として、関係性や提案力の要素に意識を向けやすくなるでしょう。

2. オペレータ向けFAQ

FAQを利用したオペレータ向けマニュアルがあれば、オペレータが応対中や応対後に参照し、正確な情報を迅速にお客さまへ提供するのに役立てられます。オペレータが自分でナレッジ蓄積をしていくための活用も見込めます。

整備されたFAQがあれば、SVやQAへの属人化を防ぎながら応対品質キープを目指せます。オペレータの意見を取り入れつつ定期的にFAQをアップデートしていくなら、より実用的で研修やトレーニングに活かしていけるツールとなるでしょう。

3. AIサポート

「トークスクリプトやFAQはすでに活用している」というセンターは少なくありません。3つめの策として、トークスクリプトやFAQといった「事前用意型ツール」にはない特徴を持つ「AIサポート」について紹介します。

コールセンターでのAI活用が本格化する中、AIが電話応対を評価したり、品質に関する改善点を自動分析してくれたりするソリューションが多く登場してきました。たとえば、通話内容をテキスト化したり、指定ワードを自動検知したりすることで、応対品質のチェック・評価作業を効率化することが期待されます。

AIサポートによって応対品質の評価にまつわる業務を効率化できると、トークスクリプトやFAQの改善、各オペレータへのトレーニングといった応対品質の均一化により直結する業務へとリソースを割いていけます。

現在は、AIを活用した「オペレータ応対支援システム」も実用化されています。顧客との会話をリアルタイムで文字起こしし、会話内容に適した回答やリアクションをAIが提案してくれるというものです。

トークスクリプトやFAQといった「事前用意型ツール」は、イレギュラーな応対内容に対応できないというデメリットがあります。イレギュラーが生じたときにこそ高い応対品質を発揮したいところですが、統一されたスクリプトやマニュアルがないため、オペレータ本人の対応力に依存せざるを得ません。

しかし、AIによるサポートは、「事前用意型ツール」には存在しない「リアルタイム性」を実現することが可能です。リアルタイムサポートなら、常に「今」の会話の内容や流れに合わせたオペレータ支援ができます。

SVがテキストベースでモニタリングすることもできるので、応対がスムーズでなかったり、クレームあるいはカスタマーハラスメントに発展しそうになったりしているオペレータをすぐにフォローすることが可能です。

現在のコールセンターでは、ベテランオペレータが新人オペレータに付きっきりになることは現実的ではありません。しかし、AIのリアルタイムサポートなら、まるでベテランオペレータがマンツーマンで業務をサポートしてくれているかのような環境を実現できるのです。

参考情報:最新のオペレータ応対支援システム「Kotonami

最後に

オペレータの業務的ストレスを最小限にしつつ、経歴に関係なく「優秀なオペレータ」としてセンターに定着してもらうには、センター側でのサポート体制が必要不可欠です。

とはいえ、SVやQAに依存しないサポートを展開することが、応対品質を長期的に均一化する上でポイントとなります。各オペレータが必要に応じて自分でツールを活用したり、AIがリアルタイムでサポートしてくれたりする環境が大切です。

お客さまにとってもオペレータにとっても安心感や信頼感、満足感を実現できるようにしましょう。そうすれば、人材課題に向き合いつつ、コールセンターという顧客接点をより効果的なものにできます。