チャットボットを導入する企業にとって、「ボットを使ったカスタマーサービス」と「人による応答」の間でバランスをとることが課題となっています。多くのコンタクトセンターマネージャーは顧客満足度において差別化を図ろうとしているため、このことに大きな関心を抱いています。
ではここで質問です。
顧客と関係を築くにあたり、ボットを信頼するべきでしょうか。
意外かもしれませんが、答えは「信頼するべき」です。
多くの場合、チャットボットはより効率よく仕事をこなし、即座に返答し、より低コストで稼働できます。そのおかげで、人間のオペレータは人間的な応答を必要とする、より複雑なやりとりに集中することができます。しかし、入社したての新人を安全策なしで顧客のもとに乗り込ませるようなことをしないのと同様、ボットの状態が悪い時にも、顧客がイライラすることがないような対策を講じることが重要です。
ビジネス用ボットの登場
1960年代のElizaの登場以来、ボットは長い道のりを歩んできました。長年の開発とAI(人工知能)の技術により、数分でボットを作成できる強力なツールがたくさんあります。MicrosoftのQnAmaker(参照:作業は『URLを入れる』だけ。MSの全自動FAQ bot会話生成サービスQnAmakerを試してみた! by ledge.ai)はどうでしょうか。これにより、ウェブサイトで見落とされがちなFAQに変わるようなボットをすぐに作成することができます。実のところ、とても気の利いたサービスとなります。たとえば、イエスかノーで答える質問に関して、ボットはそれまでのいろいろな応答の違いを考察し、答えを返します。そして、正しいものを選択していくとき、ボットは会話の意味を把握していくのです。
顧客は、人間の担当者ではなくボットとの関係を築いていけるか
ボットはどのぐらいまで受け入れられるのでしょうか。カスタマーエクスペリエンスの最前線を機械学習やAIインターフェースに引き渡すのは、リスクが高すぎると感じますか?
ボットがカスタマーエンゲージメントにおいて重要な役割を果たすという事実に疑問の余地はありません。また、企業で運営されるオムニチャネルにおいて、顧客は企業にコンタクトをとるチャネルを自分で選べるようになることを期待しています。真夜中でも、お気に入りのチャネルを使って好みのデバイスで取引きできることを望んでいるのです。タブレットやスマホで問題を解決しながら、テレビを見たり、料理をしたりできるので、顧客が通話によるやり取りを望んでいないという事実もあります。それでも、行き詰ったときには助けを期待しています。そこで、助けが求められるときにすぐに応じることができる必要があり、ボットはそのような顧客の期待に応えられるよう助けてくれるのです。
顧客サービスにおけるチャットボットの潜在的なメリットは明らかです
*顧客からの基本的な質問に答える等、反復作業のコストを削減
* 24時間365日、顧客に即時に情報を提供
*オペレータは顧客とのより複雑で付加価値の高い取引の処理に従事できる
* プロセスを合理化し、決定に役立てるために情報を収集し、従業員を強化
ボットは身近な存在になったものの、良い成果を得るには秘訣があります
AIもボットもまだまだ開発中です。Forresterはそれらを「パピー(子犬)」と描写しました。とても楽しく、可愛らしく、注意を払ってくれた人に愛情を返すからです。しかし一方で、不作法な振る舞いをする可能性があり、時おり事故は生じます。
ある翻訳ボットを例にあげましょう。途中まで翻訳はとてもうまくいっていたものの、英語翻訳の途中で「水揚ポンプ(hydraulic ram)」を「水羊(Water Sheep)」と訳したのです。
また、ボットが返すことのできる応答が満足の行くものでないとき、どうなってしまうでしょうか。ボットが顧客の言いたいことを理解できず、顧客をイライラさせてしまう状況はどうですか。顧客との関係を築くことになるのか、壊してしまうのかは、企業がどのように例外的事態を予測し、緊急時の対応策を実行するかにかかっています。実際に誰かが行動し、計画する必要があります。しかし、ボットがフェンス越しにただただ問題を投げて、エージェントが一つ一つ拾っていくのは、現実的ではありません。
ボットとのやり取りは、Eメールや電話と同じほど重要です。
アドバイザーからスーパーバイザーにエスカレートされてきた顧客に対応するのと同様、敬意と感情移入があるなら、顧客を批判者から支持者に変えることも可能です。可能な限り、顧客の詳細情報を聞くことをせず、ボットとすでにかわされた会話や、やり取りの前後関係を理解するよう努めましょう。
あなたの企業もしくはコールセンターは、負担を軽くするために、ボットを使用することを検討していますか?既存のボットが難しい状況に対応するための助けを必要としていますか?この機会に、チャットボットの導入検討してみるのはいかがでしょうか?