去る11月9日と10日に、サンシャインシティ・文化会館ビルにて、コンタクトセンター業界向けのビッグイベント、CCCRM 2023 in 東京が開催されました。当ブログ「TPIJ」を運用する株式会社コミュニケーションビジネスアヴェニューも例年通り出展させていただき、数多くの来場者とブースでお会いすることができました。皆様のご来場、心より感謝申し上げます。
本イベントでは、業界をリードする数多くの企業がセミナーに登壇されていました。弊社も3つほどのセミナーに登壇をさせていただきました。そこでも多くの来場者様に恵まれ、盛況のうちに各セミナーを終えることができました。ご来場くださった皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
今回は、弊社が登壇させていただいたセミナーをいち早くダイジェストでお送りいたします。業界をリードする企業様とコラボしつつ、コンタクトセンターのあり方、これからの標準、未来の姿など、生成AIといった旬なトピックと絡めてディスカッションすることができました。
セミナー参加がかなわなかった方々も、軽く復習したいといった方々も、サクッと読み込んで理解できる内容となっておりますので、ぜひお読みいただければ幸いです。
ソリューションサービス分科会:生成AI活用で変化するコンタクトセンター 再定義した次世代顧客接点のITの形とは(11/9開催)
2013年に立ち上げられた「5年後のコンタクトセンター研究会」には3つの分科会があります。そのうちの一つである「ソリューションサービス分科会」では、これまで、ITとソリューションに関する専門家約30名が参加し、2013年6月から現在に至るまで62回のセッションが実施されています。
2023年の活動では、5年後の2028年に向けた技術革新や顧客ニーズの変化が焦点となりました。以下のようなポイントです。
- 顧客ニーズの進化: デバイスやIoT、アバター、VR技術の普及が顧客対応に新たな要求をもたらす
- 技術革新: 音声認識の標準化、認証エンジンの高性能化、生成AIの活用が加速
- 生成AIのインパクト: 行動変容、生産性の向上、サービスの変革が期待される
- 人間とAIのシームレスなコラボ: 適切な運用により、AIと人間の協力によるサービス提供が効果的
生成AI活用については、導入に伴う課題、特にハルシネーション対策についても触れられました。適切な対処法として、センター内での利用の重要性が強調されていました。
同時に、生成AIをお客さまに直接使ってもらうにはまだハードルはまだ高いものの、適切なインプットと専門的な運用により、AIと人間が協力してサービスを提供する可能性についても言及されていました。
今後のITの役割としては、自動化の推進だけでなく、顧客満足度や従業員満足度の向上が重要である点が強調されました。コールセンターの仕事は社会的地位の向上が必要であり、単純労働や精神的に負担の大きい作業は機械に任せ、人間はより高度なサービスを提供することができるはずだという視点が提案されました。
次世代のコンタクトセンターに求められるもの~「空間共有」によるCX革新~(11/9開催)
株式会社野村総合研究所様(NRI)より清水亮一氏をお迎えしたこのセミナーでは、コンタクトセンター業界の未来に向けた革新的なアプローチが紹介されました。顧客とのコミュニケーションの重要性、技術革新、そしてそれらがどのように顧客体験を変革するかに焦点が当てられました。
「空間共有」の可能性
再三強調された概念が、「空間共有」です。このアプローチは、物理的な距離に関係なく、顧客や従業員がリアルタイムでサポートを受けられるようにするものです。この技術を活用することで、顧客体験が大きく向上し、問題解決が迅速かつ効率的になることが期待されています。
「シフトレフト」戦略
また、コンタクトセンターの業務効率化に向けた「シフトレフト」戦略が紹介されました。この戦略は、問題解決や品質向上のプロセスを、サービスや製品のライフサイクルの早い段階に移動させるというコンセプトです。顧客の問題をより早く、コスト効率よく解決することを目指すことで、顧客満足度の向上と同時にオペレーションコストの削減が可能となります。
CXの革新
CXの革新に重点を置き、顧客サービスの質を向上させるためのプラットフォームについても紹介されました。これには、AIとAR(拡張現実)を利用したリアルタイムでの問題解決支援や、デジタルツイン技術の活用が含まれています。これらの技術は、顧客が遭遇する問題をより迅速に、そして効果的に解決するための効率的な一助となります。
コンタクトセンター業界が直面している現代の課題に対する斬新な解決策について考えてきた本セミナーですが、空間共有、シフトレフト、CXの革新は、今後のコンタクトセンター業界の発展において重要なキーワードとなるはずです。
新時代のコンタクトセンターをデザインする~実用的なAI活用法~(11月10日開催)
株式会社ベルシステム24ホールディングス様より坂口修平氏をお招きして、弊社CIO岡村との対談形式で行われたこちらのセミナーでは、コンタクトセンター業界における「生成AI」の実用的な活用方法が議論されました。
セミナーのハイライトは、生成AIの可能性と役割についての議論でした。特に、人間のオペレータとAIが協力して、顧客対応を行う方法が動画によるデモが注目を集めていました。顧客対応、そしてハラスメント対策としてどのように活用できるかについて、顧客からの問い合わせやハラスメントに対するAI対応のシナリオが提示され、AIが人間のオペレータをサポートする方法について詳しく説明されました。
また、現在利用可能な技術と、将来的に業界で求められるであろう技術の動向についても議論されました。やはり、音声認識やAIの進化が、コールセンター業界における主要な動向として取り上げられていました。
このセミナーは、コールセンター業界に新しい技術的視点を提供し、さまざまな課題への解決策を探求する場となりました。生成AIの利用やリモートサポートの可能性に重点を置き、業界の革新と顧客サービスの向上を目指していました。オペレータと生成AIの協働や、ハラスメント対策としての生成AIの役割など、実践的な内容が多く取り上げられ、参加者に新たな知見とインスピレーションを提供していました。
次世代コンタクトセンターへの道のり:セミナーを終えて
ここまで、弊社が参加した3つのセミナーのダイジェストをお送りしてまいりました。コンタクトセンター業界の将来像を描くためのインサイトが多く得られたのではないかと思います。各セミナーのポイントを、サマリーとして以下にまとめます。
生成AIの活用:コンタクトセンターにおける生成AIの導入は大きな変革をもたらす。AIは顧客対応の質を向上させ、ハラスメント対応にも貢献可能。
顧客ニーズの進化:デバイス、IoT、アバター、VR技術などの普及により、顧客対応への新たな要求が生まれている。
技術革新:音声認識の標準化や認証エンジンの高性能化が進行中。これらの技術は顧客対応を効率化し、より応答性の高いサービスを提供する。
「空間共有」の概念:物理的な距離に関わらずリアルタイムでのサポート提供を可能にし、顧客体験を向上させる。
「シフトレフト」戦略:問題解決プロセスを初期段階に移動させることで、顧客満足度の向上とオペレーションコストの削減を目指す。
人間とAIの協働:AIと人間が協力してサービスを提供することで、より効果的な顧客サービスが実現される。
こうしたインサイトは、今後のコンタクトセンター業界の未来を探る上で重要となっていくはずです。AIと人間のコラボレーション、顧客ニーズの変化に対する柔軟な対応、そして技術革新。これらの要素は、コンタクトセンターが提供するサービス品質を改善して顧客満足度の向上に寄与するだけでなく、従業員の業務環境改善にも大きく関わります。
これまでもこれからも、わたしたちのビジネスを取り巻く環境は日々変化が起こり続けています。新しい技術とアプローチや戦略を積極的に取り入れつつ革新を続けていくことが、これからのコンタクトセンターの未来を形作っていくことになるのでしょう。