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【事例付き】小売DXにチャットコマースが欠かせない3つの理由

小売DX

小売DXのひとつとしてチャットコマースが注目されています。チャットボット、有人チャット、メッセージングの導入がアメリカを初め、日本のエンタープライズ企業で進んでいるのです。

しかし多くの企業はまだ「チャットサポートに力を入れるか迷っている」「チャットサポートの将来性がわからない」「チャット運用を始めたらどんな使い方ができるかイメージできない」と感じているかもしれません。

今回の記事では、小売DXにチャットコマースが欠かせない3つの理由を考えます。最後にはチャットコマースの最新事例を動画付きで紹介しますのでご覧ください。

海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、15年間にわたり日本市場へローカライズしてきた「株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニュー」が解説します。

小売DXにチャットコマースが欠かせない3つの理由

なぜ小売DXをチャットコマースで進めていくべきか、世界のトレンドと日本の現状を通して考えていきましょう。
チャットコマースが必須と言える理由は3つあります。

コロナ渦でチャットサポートの利用率が上昇 

世界のトレンドを見ると、コロナ渦でチャットサポートの利用率が上昇しています。チャットコマースの先進企業LivePerson社の調査では、2020年のブラックフライデーからサイバーマンデーの期間中、小売業のチャットサポートを利用したお客さまは前年比200%増でした。チャットによる会話の総量はサイバーマンデーだけで前年比186%の増加です。

一方、パンデミックが始まった2020年のリアル店舗の利用率は大幅に減少しました。2019年と比較して52%減です。そのため多くの企業は、チャットサポートによるカスタマーエクスペリエンスに力を入れています。
たとえば世界最大の美容ブランドの一つは、Apple Business Chatを使ったチャットサポートを開始しました。結果としてサイバーウィークエンドのチャット利用量は150%を超えました。

小売DXにチャットコマースを取り入れて成功しているアメリカの事例は、今後日本にも導入されていくでしょう。注目すべきことに、すでに日本にはチャットコマースを受け入れる土壌がすでにあります。

国内のデータを見てみましょう。コールセンター白書2021では、テキストベースのコミュニケーションが主流になりつつある現状を次にように分析しています。

非対面のコミュニケーション手段の中心は、すでに電話からメールやチャット、LINEなどのメッセンジャーに移行している。総務省が2021年2月に発表した調査結果「通信量から見た我が国の音声通信利用状況―令和元年度における利用状況」によると、2019年の国内音声トラフィックの通信回数は、2013年度と比較して、実に約17%も減少。このダウントレンドは加速するという味方が圧倒的に強い。

国内では、電話よりテキストベースのコミュニケーションが一般的になってきていることが分析できます。

日本の消費者は、デジタル顧客サービスを最も積極的に受け入れています。LivePerson社のアジア太平洋地域で行った調査では、「今でも対面での接客の方を好むか」といった質問がなされました。対面の接客を望む消費者は、オーストラリア30%、ニュージーランド29%、シンガポール27%に対し、日本人ではわずか10人に1人(10%)でした。日本人がDXに対して前向きな姿勢を持っていることがわかります。

世界のトレンドと同じく日本でもチャットサポートの利用率は上昇していくことでしょう。

顧客はチャットサポートの利用を今後も継続する

「パンデミックが終わったらチャットサポートのニーズは減少するだろう」と言われることがあります。しかしチャットサポートは今後も利用されていくと予想されています。

なぜなら消費者はパンデミックでチャットサポートの便利さに気がついてしまったからです。チャットサポートの快適さを体験したあとではもう元に戻れません。
たとえばサイバーウィークエンドに、多くの人はチャットを利用して買い物をしました。そして週明けの通常の火曜日には、最も買い物客が多いブラックフライデーよりも11%多いチャットの利用率になりました。つまり一度チャットを利用したお客さまが、その後も頻繁に使い続けていることがわかります。

LivePerson社の調査では、消費者の85%が企業にメッセージでコミュニケーションをとりたいと考えており、71%がチャットサポートを提供するブランドで買い物する可能性が高いと答えています。

チャットサポートは小売業のニューノーマルになっていくでしょう。

チャットコマースのトレンドは小売以外でも進む

チャットコマースでDXを進めているのは小売業だけではありません。金融、通信、保険などの業界でもチャットコマースに力を入れています。LivePerson社のクライアントの例を紹介します。

世界最大の銀行の一つは、サイバーウィークエンドに顧客がカードを使って購入したため、チャットによる問合せが50%増加

世界最大の電話会社の一つは、電話やサービスプランの申込で利用できるメッセージングチャネルを宣伝。その後、チャット利用率が40%増加

世界最大の保険会社の一つは、チャットサポートの導入効果を認め、電話による対応を終了する予定

小売DXにおけるチャットコマースの最新事例

チャットコマースで小売DXを進めるために、具体的に何ができるかアメリカの事例を紹介します。実際にアメリカで効果が出ている事例や、日本で導入しやすい事例をピックアップしてみました。

チャットコマースによる小売DXが加速する背景

まずチャットコマースによる小売DXがアメリカで加速している背景を少し説明します。

パンデミックにより、安全な買い物の仕方としてBOPISが浸透しました。

BOPISとはオンラインで購入した商品をリアル店舗で受け取る仕組みのことです。Buy Online Pick-up In Storeの略称です。

日本でもBOPISのメリットが重視され、小売業への導入が進んでいます。

マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査では、59%の消費者がECサイトで商品を購入し、商品は店頭での受け取り(BOPIS)を選択しています。さらに74%が非接触型決済を希望していることがわかりました。

店舗でゆっくり買い物を楽しむのは感染リスクが高いので、商品はECサイトでじっくり検討し、受け取りは自分が都合の良いときに行けるリアル店舗で行う方法が人気です。送料がかからないのも、ECサイトの利用頻度が高くなっている今は顧客にとって大きな魅力です。また、ECサイトでの購入は、決済時に完全非接触というのも顧客にはメリットです。

BOPISは事業者側にとっても以下のメリットがあります。

しかしBOPISにはお客さまと企業の接点のコミュニケーションを減ってしまうといったデメリットがあります。

そこで導入されるのがチャットコマースです。チャットサポートでお客さまとのコミュニケーションを維持しようという施策です。

ではチャットコマースによって、小売DXがどのように行われているのか事例を見ていきましょう。

カーブサイドピックアップ

カーブサイドピックアップとは、ECサイトで購入した商品をリアル店舗の駐車場でピックアップするサービスのことです。しかしカーブサイドピックアップには課題があります。すでにカーブサイドピックアップの導入が進んでいるアメリカで見えてきた課題は以下のとおりです。

駐車場でピックアップといっても、いったん車から降りて駐車場内にある受け取り場所までいかなければいけない

駐車場から店舗に電話をかけて、店員が荷物を車まで届けてくれるまで結構待たされる

カーブサイドピックアップの方法は企業によって異なりますが、顧客にとってベストなのは車まで商品を届けてもらうことです。しかし顧客から連絡を受けて商品を届けるのは店舗のスタッフに負担がかかります。
店舗での業務をこなしながら、カーブサイドピックアップ利用客の電話に出て、必要な情報を記録し、注文を見つけ、商品をピックアップし、お客さまの車を駐車場内で探さなければなりません。

効率よくカーブサイドピックアップを実施するには、QRコードとチャットボットを利用するとよいでしょう。

実際の流れは次のようになります。駐車場のカーブサイドピックアップゾーンに、QRコード付きの看板を設置します。お客さまはQRコードをスキャンすると、店舗のチャットボットと会話ができます。店舗のスタッフは、チャットボットが受け取ったお客様の注文情報を見ながら商品をピックアップします。QRコードが読み取られた際の位置情報でお客さまの居場所がわかるため、あとは商品を届けるだけです。

実際の流れを動画で見ることができます。

リアル店舗におけるチャットサポート

アメリカの小売DXでは、BOPISで店舗まで来た人の購買意欲をさらに高める施策を行っています。店内にある商品説明を店員ではなく、チャットを使って行うのです。
お客さまには店員との接触を最小限にできるメリットがあります。店舗側も少ない従業員で営業できるメリットがあります。

店舗内でのチャットサポートとはどのようなものでしょうか。各商品セクションにQRコードを設置しておきます。お客さまは商品について不明な点があれば、QRコードをスキャンして質問できます。実際の流れは動画でご覧になれます。

お客さまはコードレス掃除機の購入を検討している際に「充電中でも使えるか」「ペットの毛を吸える吸引力はあるか」とチャットで質問▶その後スマートフォンでそのまま商品を購入▶最後に送られるQRコードで、商品を帰り際にピックアップ

店舗の混雑を避けるチャットサポート

週末やセールの時期はレジ周りが混雑することがあります。商品の購入、返品、さらに値段や仕様の確認などをしたい人でレジの周りが混み合うことがあるでしょう。チャットサポートでどのように対応できるでしょうか。

たとえばレジ前にQRコードを設置して、チャットボットに対応させることができるでしょう。またはお客さまが店舗に入る前に並ぶ場所へQRコードを設置し、チャットボットで来店の目的を聞き、その後に適切なサポートができます。

店舗の混雑を避けるために役立つチャットボットの対応を動画でご覧になれます。

店舗に入る前に並ぶ場所へQRコードを設置。来店の目的を聞き、商品をスマートフォンでそのまま購入できるようにしています

小売DXにおけるチャットコマースのメリット

小売DXをチャットコマースで実現するメリットは2つあります。

チャットコマースでは人材の有効活用が可能です。事例で見たような、チャットボット、有人チャット、メッセージングを使いながらの接客は、店舗で行う必要はありません。コールセンターや在宅オペレーターが対応できます。一人のオペレーターが複数の店舗を担当することも可能です。

チャットサポートを行うことで、お客さまは安全を維持しながら商品に関する説明を聞けます。商品を質問した流れでそのまま購入することも可能です。「質問に答えてもらうために店員を探さなくて良い」「商品の購入のためにレジに並ばなくてよい」というのはお客さまの利便性を向上させます。

最後に

小売DXにチャットコマースを活用することで、市場のニーズに対応できます。パンデミックを機に高まったチャットサポートの利用率は引き続き上昇していくでしょう。チャットサポートの利便性と安全性の高さがお客さまから評価されているからです。現にチャットコマースは、小売業界以外でも導入が進んでいます。

チャットコマースによる小売DXをどこから初めたらよいかわからないときはチャットサポートツールの選定から始めると良いでしょう。ツールのベンダーに現状や展望を話しながら自社にあったチャットコマースの導入の仕方が見えてきます。弊社では海外と国内の最新事例を紹介しながら、あなたの課題解決をサポートします。

小売DXをチャットコマースで実現することによって、最高のカスタマーエクスペリエンスを提供していきましょう。

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