新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに急拡大を見せた「在宅コールセンター」。パンデミックが落ち着いた現在も、在宅コールセンターがもつメリットや価値ゆえに、その働き方を継続的に導入しているセンターは少なくありません。とりわけ、子育てや介護中などで柔軟な働き方を望む求職者にとっては、在宅オペレーターの制度の有無は大きなアドバンテージとなります。
しかし、在宅オペレーターだからといって、顧客接点の最前線であるコールセンターの一員であるという立場に変わりはありません。そのため、センターや企業の損失となりかねないリスクは最低限に抑えるべきです。この記事では、在宅コールセンターにおける「騒音」に注目し、具体的な5つの対策をご紹介します。
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この記事が解決するお悩み
在宅コールセンターの騒音対策レベルや足並みがそろいにくい
従来の騒音対策だとオペレーターの居住環境に左右される
オペレーターの増減に対応しやすい騒音対策を知りたい
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在宅コールセンターの課題:騒音
柔軟な働き方による人手不足へのアプローチや、BCP対策の一環として価値を評価される在宅コールセンター。一方で、大きなデメリットとして「騒音問題」が指摘されてきました。
在宅における騒音対策は、「環境や日常動作に気をつけていれば対策できる」「センターに出社していても騒音はあるのだから、生活音だけ気にしていれば良い」というライトな課題には収まりません。
「騒音」の定義はさまざまですが、この記事では「オペレーターとお客さまの声」以外の全てを「騒音」として定義していきます。
では、騒音対策をしなければいけないどのような状況があるでしょうか。
たとえば以下のようなケースが考えられます。
- 自宅が駅や飛行場の近く、大通りに面した場所に位置している
- 大規模な集合住宅に住んでいる
- 近くに学校や公園がある
- 木造住宅で音が響きやすい
- 家族も在宅ワークをしている
- 家の中に小さな子どもやペットがいる
もし上記のいずれにも当てはまらない住環境が整っているとしても、近所での工事や、家のインターフォンが鳴るなどは突然に起こります。つまり、在宅コールセンターおいて騒音対策を全く必要としないケースはごく稀であり、在宅コールセンター開始時から騒音対策をするべきだということです。
もしも騒音対策ができていないと、センター全体として以下のようなリスクが高まります。
- お客さまからのクレーム
- オペレーターの集中力低下と、それに伴う業務効率の低下
- 在宅オペレーターとしてのストレスに基づく退職
- コールセンターや企業のイメージダウンと信頼の低下
騒音対策の必要性は明白です。一方で、騒音対策は各オペレーターに一任しているというセンターは少なくありません。いざ対策をするとなると、各家庭の住環境や家庭のライフスタイルなどが関係してくるからです。
仕事部屋として静かな部屋を確保できているオペレーターもいれば、家族もリモートワークをしていてお互いに配慮し合わなければいけない人もいるでしょう。賃貸住宅に住んでいるために、内装をアレンジして防音・遮音することは不可能というオペレーターもいるはずです。
しかし、センター管理者の立場に立ってみると、各オペレーターがどのような対策を講じているのかがわからず、センターとして絶対の対策基準を提示できないことは、在宅コールセンターの運用にまつわる不安要素となります。
お客さまからすればオペレーターの居る場所こそがいわゆる「コールセンター」です。本来コールセンターからは聞こえるはずのない音(子どもの声やペットの鳴き声、チャイムの音など)が聞こえてくると、オペレーターの業務スタイルや取り扱われる情報のセキュリティなどに不信感を持たれかねません。
顧客接点の最前線であるコールセンターのオペレーターは、いわば「企業の顔」。オペレーターがお客さまから信頼されなくなれば、企業の信頼も落ちてしまいます。センターとしての電話応対品質を保ったり、信頼感を維持したりするためには、各オペレータの騒音対策レベルを一定にし、足並みを揃えることは重要です。
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在宅コールセンターの騒音対策5選
では、在宅コールセンターにおいて、具体的にどのような騒音対策を講じられるでしょうか。
- 賃貸住宅に住んでいるので大がかりな内装のアレンジはできない
- 部屋数の問題で静かな仕事部屋を確保することができない
- 同居する家族へストレスをかけたくない
上記のような悩みや希望に対応できる対策を5つご紹介します。
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1. ノイズキャンセリングマイク付きのヘッドセットを活用する
コールセンターで活用されるヘッドセットは値段から性能に至るまで選択肢はさまざまです。そのため、各オペレーターにヘッドセットを自前で用意してもらったり、会社として貸与するヘッドセットの種類が異なっていたりすると、ノイズ抑制をはじめとした各種性能に差が出てしまい、応対品質にバラツキが発生します。
センターが求めるノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドセットを一律で貸与するなら、在宅オペレーターの音声品質を一定に保ちやすくなります。高性能な機材を全員に貸与となると、「在宅コールセンターの導入によってファシリティコストを削減できると思ったのに…」と感じるでしょうか。ヘッドセットの複数購入により一時的なコストがかかることは事実ですが、応対品質のバラツキが引き起こす長期的なリスクや損失と比較するなら、決して無駄なコストではないと言えます。
とはいえ、所属する在宅オペレーターの人数や、各スタッフの騒音対策の現状次第では、ヘッドセットの貸与がベストだとは限りません。機材の貸与にかかるコストと、現在削減できているコスト、損失となりかねないコストの概算を比較してみると、自社センターにとってのベストな選択肢が見えてくるでしょう。
▶参考情報:株式会社フロント・ワークスは、2022年時点でJabra Engage 50を全社員に支給しています。
2. ノイズリダクションツールを導入する
ヘッドセットのようなハードウェアによるノイズ抑制・除去とは異なり、アプリケーションによるソフトウェア的アプローチという選択肢もあります。
NamitechソリューションやKrispといった、最新のノイズリダクションあるいはノイズキャンセルツールは、ZoomやGoogle MeetといったWeb会議システムやコンタクトセンターシステムとの連携が可能です。
アプリケーションによる騒音対策の場合、オペレーターの居住環境に左右されることはなく、オペレーターの増減にも柔軟に対応できるという強みがあります。また、在宅オペレーターに限らずセンター全体で活用することができるので、汎用性の高い騒音対策となります。
ノイズキャンセリングのヘッドセットと組み合わせて使うなら、オペレーター自身もセンター管理者もより安心して業務へ取り組めるでしょう。
▶参考情報:日本語に強いAI音声認識システム「Namitechソリューション」
音声認識システムに必須なノイズリダクション機能|ノイズキャンセルとの違いとは - TPIJ by CBA |
3. 防音パネル/パーテーションや吸音材の使用
騒音対策の代表例に上がるのは、防音パネルやパーテーションの使用です。パンデミックでリモートワークが急拡大したことにより、パーテーションの選択肢は大きく広がりました。サイズ感や素材、持ち運びのしやすさなど、それぞれのニーズに合わせたパーテーションを選ぶことができます。
▶参考情報:コールセンター用パーテーションを取り扱うショップの例
https://www.partition-lab.jp/products/callcenter/
4. 二重窓にする
効果性の高い対策として挙げられるのが、二重窓作戦です。内窓を付けて窓を二重にするという策ですが、外音に対する防音効果は高いとの声が多数見受けられます。それだけでなく防災や防犯、耐熱効果なども付加されるので、今後も在宅オペレーターとして長く働く予定があって、住環境の観点から設置が可能なのであれば、効果的な対策と言えます。
インターネットを調べてみると内窓の値段には幅があり、1万円前後のものから10万あるいはそれ以上かかるものもあります。とはいえ、賃貸住宅に住んでいる場合、窓の取り付けに関して大家さんの許可を得る必要が生じます。また、室内で発生する騒音に対しては効果がないので、二重窓対策だけで騒音対策が完結するわけではありません。
5. コワーキングスペース・レンタルスペースのレンタル
コワーキングスペースやレンタルスペースを活用すると、「今日は家で業務ができない」「近所で工事が始まったので、しばらくは家以外の静かな環境で業務をしたい」など、各オペレーターが自分の都合に合わせて騒音対策を講じることが可能です。
最近設置されたコワーキングスペースの多くは、個人利用あるいは法人利用で利用スタイルを選ぶことができます。サブスクリプション形式のものあるので、企業としてコワーキングスペース使用のフォロー体制を整えておくなら、在宅オペレーターが無理矢理に自宅で業務を行う必要はなくなります。
少なからずコストがかかるので、在籍するオペレーターたちにニーズを聞き、ミニマムスタートしながらフォロー体制を整えていくと良いでしょう。
最後に
在宅コールセンターにおける騒音対策は、主にオペレーター本人とお客さまのために取り組むものです。しかし、在宅オペレーターの背後にいる家族の存在も忘れないようにしましょう。最近はとくにライフワークバランスを重視する人が増えています。在宅コールセンターが自分と家族にとってストレスや負担になると判断されてしまえば、それが早期退職のきっかけとなり得ます。
逆に少しでもストレスや負担、リスクとなる要素を軽減していけるなら、オペレーターから愛されるコールセンターとなり、センターへの愛着や帰属意識を高めることができます。人手不足が加速する中、場所にとらわれずにオペレーターを採用できる在宅コールセンターは、企業にとってもオペレーターにとってもニーズとマッチした働き方です。そのメリットを最大限に活かせるよう、センターあるいは企業として在宅オペレーターを支援したいものです。