弊社(株式会社コミュニケーションビジネスアヴェニュー)は、2023年11月9日と10日に池袋サンシャインシティ・文化会館ビルで開催された「第24回コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2023 in東京」に出展しました。イベントの模様や弊社のブースの総括について紹介させていただきます。
「顧客満足度」や「従業員満足度」を、AIやクラウドがどのように向上させるのかという点が見どころのイベントでした。今回の記事では、コールセンター業界が抱える「人材不足」や「カスハラ対策」といった問題にAIやクラウドシステムがどのように役立つのか解説していきます。
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「第24回コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2023 in東京」の概要
株式会社リックテレコム 月刊コールセンタージャパン / インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社が主催する当イベントは、毎年行われています。昨年は、来場者数は6731人、出展社数は105社でした。コールセンター業界だけでなく、カスタマーサービスに関係する各業界が注目するビッグイベントです。
カスタマーサービスの現場が抱える「慢性的な人材不足」「属人化しやすい応対品質の均一化」といった問題に役立つソリューションが展示されます。今年は、話題の生成AIや音声認識AIを活用したITソリューションが数多く展示されていました。
「Bright Pattern」ブースの総括
弊社の「Bright Pattern」は、複数のチャネルを一元管理できるクラウド型オムニチャネル・コンタクトセンターシステムです。拡張性が高く、さまざまなCRMやAIと連携させてプラットフォームとして運用していけます。
「カスハラ対策」が業界では話題となっています。そもそも、カスハラはなぜ起きるのでしょうか。顧客の不満が一つの原因になっています。
「メールで問い合わせたのにまた説明させられる」「チャットで言ったことをまた言わせるのか」といった不満です。しかしこの不満は、チャネルの一元管理、つまりコールセンターをオムニチャネル対応にすれば解決できます。
Bright Patternは「カスハラ対策」だけでなく、「カスハラ予防」に最適なコンタクトセンターシステムです。
「Bright Pattern」のデモ紹介
「Bright Pattern」のデモでは、音声認識AIを活用した「リアルタイムで音声データをテキスト化」「顧客の感情分析」「NGワードの検知」を実施する新機能が紹介されました。
顧客とオペレーターの会話をリアルタイムで解析し、回答に必要なWebサイトを自動で開いたり資料を提案したりする様子がデモ展示されました。
暴言にシステムが反応して、AIによる対応へ切り替える様子もご覧いただきました。
今後はOpenAIのWhisperを搭載し、より精度の高い音声認識と、より丁寧なオペレーターのサポートができる製品になっていきます。
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「CareAR」ブースの総括
弊社の「CareAR」は、ARを活用した「空間共有」で顧客満足度を向上させるARサービス管理プラットフォームです。顧客自らがARマニュアルを見ながら問題解決ができたり、オペレーターへ問い合わせてARを使った説明を受けながら問題解決ができたりする製品となっています。
デモ紹介
「CareAR」のインストラクト機能を活用すると、顧客は3Dコンテンツを使ったARデジタルツイン技術によってトラブルシューティングを容易に行なえます。
自己解決ができず、オペレーターへ問い合わせたとしても、目の前の機器を見ながらARアノテーションを使って分かりやすくサポートしてくれます(「CareAR」のアシスト機能)。
「CareAR」は顧客だけで自己解決をしていく「非同期の空間共有」と、顧客とオペレーターの双方が同じ製品を見ながらトラブルシューティングをしていく「同期型の空間共有」の両方が得意な製品です。
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補足:GIDR AIの紹介
今回、ブースの一部を使って新たに紹介した新製品は、カスタマーサービス用AIプラットフォーム「GIDR AI(ガイダ―エーアイ)」です。
「GIDR AI」とは、最新のRAG技術を活用して企業が持っている製品マニュアルの構造化から、顧客が参照するFAQなどの生成までを一気通貫で行ってくれるプラットフォームです。
とくに企業が持っている大量のマニュアルコンテンツを構造化する作業が得意な製品です。PDF、WEBサイト、メール、画像、動画など多岐にわたるコンテンツを構造化していきます。
「カスタマーサービスに活用したいデータの量と種類が多くて途方に暮れている企業」や「データの構造化から顧客接点の部分までを丸投げしたい企業」にオススメの製品です。
※「GIDR AI」やRAG技術については、後日別の記事で解説します。
「第24回コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2023 in東京」で出会った顧客接点ツールの紹介
「第24回コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2023 in東京」では、生成AIや音声認識AIを活用した顧客接点の進化に役立つ製品にいくつも出会いました。そのうちのいくつかを紹介していきます。
Media Talk
メディアリンク株式会社様のブースでは、ChatGPTを活用した簡単にチャットボットが構築できる「Media Talk」が紹介されていました。ファイルをアップロードするだけで誰でも簡単にチャットボットを構築できる特徴があります。
ChatGPTを活用したチャットボットの構築で大変なのは、AIにデータを読み込ませる作業です。「非構造化データを構造化する作業」とも呼ばれる部分で、手数と時間がかかる作業となります。
しかし「Media Talk」の場合は、PDF、Excel、Googleスプレッドシートなどをアップロードするだけで終わってしまいます。ブースでUIを見せてもらいましたが確かに操作がわかりやすく、専門知識がなくても扱いやすいと感じました。
担当者の方によると「生成AIの活用はナレッジデータベースの構築が鍵になる。今後もナレッジデータベースの運用にとくに力を入れていきたい」とのこと。さらに「AIの暴走を防ぐために、あえてデータベースの更新は自動にしない。人が更新のタイミングを決めるようにして、AIの間違った学習をさせないようにしている」ともコメントしていました。顧客接点の現場でAIを効率よく運用することに加えて、安全な運用も心がけている様子がうかがいしれました。
MooA
モビルス株式会社様のブースには、オペレーション支援AI「MooA」が展示されていました。「MooA」はGPTや独自の技術を活用して、オペレーターやSVの業務を支援してくれる製品です。主に3つの機能が紹介されていました。
- MooA-音声認識
- MooA-対話要約生成(テキスト・音声)
- MooA -FAQ生成(音声)
製品の特徴を見ると、テキストより音声をとくに活用している印象を受けます。
その点を尋ねると、担当者の方は「MooAは音声の応対履歴を活用してFAQを生成するのが得意。しかもテキストより音声のほうが精度が高いFAQが生成できる」とのことでした。「AIにメールによる顧客対応を読み込ませようとすると、広告や住所などFAQ生成に関係のない情報が混じってしまう。しかし音声による顧客対応には、余計な情報が含まれていない。文脈もわかりやすい」と説明してくれました。
実際に、音声による顧客対応の「要約」「FAQ生成」のデモを見てみると、MooAの「音声認識技術の高さ」と「FAQの精度の高さ」に驚きました。
Commubo for コールセンター
株式会社ソフトフロントジャパン様のブースでは、AIオペレーターを活用したボイスボットツール「Commubo for コールセンター」が展示されていました。人間のような温かみのある声と、タイムラグなく会話ができるAIオペレーターの作り込みが優れている特徴があります。
ブースでは、AIオペレーターと会話ができる体験型デモが用意されていました。実際に試してみると、たしかにテンポよく会話ができることに驚きました。こちらの質問や答えを認識し、AIが返答するまでがとてもスムーズだったことが印象に残っています。
遅延が少ないことについて担当者に尋ねてみると、「株式会社ソフトフロントジャパンは元々SIPの会社。インターネット回線に音声を効率よく乗せる技術があるため音声データを遅延せずにやり取りするのは得意です」と説明してくれました。
さらに製品の特徴として「現場でシナリオフローをカスタマイズできる。他の製品はシナリオをいじるにはベンダーに依頼する必要があるが、Commuboではその必要がない」という点も強調していました。
AIボイスボットは、これから伸びていくと期待されているチャネルです。
2023年度「コールセンター企業 実態調査」によると、AIボイスボット業務に対応しているセンターはわずか28.1%です。しかし、前年度の23.5%からは増加しています。まだまだ対応しているセンターは少ない状況ですが、増加傾向にあるチャネルです。
ボイスボットに対応するセンターが増えている背景として、「電話チャネルと組み合わせて導入しやすいこと」「チャットボットの運用でシナリオ作成などのノウハウが蓄積されてきていること」が影響しているのでしょう。今後も、Commuboを含めチャットボット製品の対応品質の向上に注目です。
補足:社内で話題になった製品
株式会社Helpfeel様の検索SaaS「Helpfeel(ヘルプフィール)」―「Gyazoを作った会社なのですごく勢いを感じる。愛用していた「紙Copi」を作った方がCEOなのか!」
株式会社タカコム様のリアルタイム音声認識&録音アプリ―「なんとハードウェアを装着して音声を取得するとのこと。だから、1席から始められるのか…。」
再春館システム株式会社様のヘッドセット「mimiyori」―「高齢のオペレーターが使いやすいように大きなボタンを採用。簡単ガジェットなのに、これまでなかった有用ツール!」
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最後に
「第24回コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2023 in東京」には、AI、AR、クラウドといった技術をコールセンター業務に役立てられる製品やサービスが数多くありました。今ある顧客接点を進化させたり、新たな顧客体験を創造したりするためのツールに出会えました。来年の同イベントにも注目していきたいと思います。
「コールセンター用の最新ツールに興味はあるが、今いるメンバーで導入・運用ができるのか不安になる」ことがあるかもしれません。弊社ではコールセンター業界を中心に顧客接点をイノベートする製品を提供してきた17年の実績があります。顧客と従業員が利用しやすい製品と運用方法のサポートを提供していますので、お気軽にご相談ください。
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