「AIを導入したのに、結局PoC止まりだった」「現場が使ってくれず、成果が見えない」「AIツールは増えたが、現場の業務は楽になっていない」
AI導入を検討、あるいはすでに進めている多くの企業が、これらの壁にぶつかっています。何が問題なのでしょうか。
問題は導入したツールの性能ではなく、「導入の視点」そのものがズレていることにあります。
本記事では、先日開催されたウェビナー「高精度音声テキスト化✕高精度VOC分析で実現 すぐできる次世代カスタマーサポートプラットフォーム構築」の内容をもとに、下記の点をわかりやすく解説していきます。
- なぜAI導入は成果につながらないのか
- 成果を出している企業の思考法とは?
- 成果を出す思考法を、どのように形にできるのか
あわせて、実際の導入事例と数値効果、そしてアーカイブ動画でしか語られていないリアルな視点についてもご紹介します。
AIが変えた2025年のCX:導入から再設計へ―2026年を読み解く5つのキーワード - TPIJ by CBA |
AI活用で失敗するコンタクトセンターの特徴
コンタクトセンターは、次のような問題を抱えやすいと言われています。
- 労働集約型で人に依存しやすい
- ベテラン頼みで業務がブラックボックス化しやすい
- 採用コスト・教育コストが年々上昇している
上記の問題を解決するため、「AIで効率化しよう」と考えるのが自然な流れです。
しかし実際には、「チャットボットやボイスボットを入れてみたが精度が低い」「結局オペレータ転送が増えただけ」「業務負荷もコストも減らない」といった状況に陥りがちです。
なぜでしょうか。
一つの理由は、AIを部分的な業務でしか活用していないからです。単にAIを「便利な道具」として部分的に使っているだけでは、成果が出にくいのです。
ウェビナーでは、この状態を「部分最適のAI活用」と表現しています。
成果を出す企業は「AIを中心に業務を再設計」している
成果を出している企業は、考え方が根本的に異なります。
彼らは、「AIを既存業務に当てはめる」のではなく、「AIを前提に業務全体を再設計する」という視点を取っています。
ウェビナーでは、これを「枝葉ではなく、幹からAIで考える」と表現しています。
そして、再設計において重要になってくるのが、VOC(顧客の声)をどう扱うかという点です。
VOC活用の成否を分けるのは「音声テキスト化の精度」
VOCの多くは、電話応対の文字起こしという「音声データ」を基に存在しています。
しかし、精度の低い音声認識システムで文字起こししてしまうと、VOCの活用は一向に進みません。
なぜなら、「文字起こしの精度が低いので、人があとから修正しないといけない」という事象が発生したり、「AIが要約してくれたものの、内容が正確でない」という問題が発生したりするからです。
そこで、ウェビナーで紹介されたのが、高精度音声テキスト化エンジン「NamiSense」です。
日本語に強い「NamiSense」は、他社と比較して50%の精度向上を実現してくれるため、人手による修正を減らし、正確なVOC分析を可能にしてくれます。
実は、この「音声テキスト化の精度」が、その後のAI活用すべてを左右するのです。どれほど左右するかについてはウェビナーで詳しく解説しています。
KPIはどれだけ改善するのか?──数字で見るAI活用効果
ウェビナーでは、株式会社SHIFT PLUS 代表取締役社長の綿貫 健吾氏を通し、AI活用が与えるKPIへの具体的なインパクトが語られました。
「全員人間で対応するコンタクトセンター」と、「AIを中心に据えて設計したコンタクトセンター」では、どれほどの違いがあるのでしょうか。
綿貫氏の分析によると、AI活用により次のような改善を見込むことができます。
- 平均通話時間:約30%削減
- 平均保留時間:約10%削減
- 平均後処理時間:約80%削減
AIを組み込んだ業務設計をすることによって、トータルで45%の生産性の改善を見込めるとも分析されました。
そして、これは机上の空論ではありません。実際に、SHIFTグループが運営するコンタクトセンターで確認された効果なのです。
「年末調整ヘルプデスク」でのリアルな導入事例
ウェビナーでは、SHIFTグループの「年末調整ヘルプデスク」での事例が紹介されました。
このヘルプデスクは、10月から12月の短期間に立ち上げるコールセンターのため、初心者のオペレータが多いという特徴があります。
その中で、下記のような効果が確認されました。
- 後処理時間/件:7分19秒 → 1分20秒(約82%削減)
- 対応件数/時間:41件 → 64件(約56%向上)
さらに、現場が実感した効果として、「オペレータがメモを取ることを意識せずに顧客対応ができる」とか、「目の前のお客さまに集中できる」といった従業員満足度向上の効果も生まれました。
実際の現場をよく知る綿貫氏から「AIというのは現場の仕事を奪うものではなく、現場を楽にするものなんだ」というメッセージが、具体的な数字とともに語られました。
応答率から「AI解決率」へ──業界概念はどう変わるのか
ウェビナー後半では、KPIの常識そのものが変わる可能性にも触れられています。
AI時代には「応答率」という主要KPIよりも、「AI解決率」が重視されるようになっていくと予測されました。
なぜなら、コンタクトセンターでの初期対応が、AIチャットボットやボイスボットによって行われるようになると、応答率自体が100%となってしまうからです。
すると大切になってくるのが、「AIを通して解決できたのかどうか」、「それとも人間のオペレータへの転送が必要だったのかどうか」という点です。AI解決率というKPIこそが、カスタマーサービス改善の重要な指標になってくるのです。
このポイントについては、アーカイブ動画を通してさらに理解を深めていただきたいと思います。
AI中心のコンタクトセンターを実現するプラットフォーム
ウェビナーでは、AIを中心としたコンタクトセンターを設計するのに貢献する次世代コンタクトセンタープラットフォーム「AICO」が紹介されました。「AICO」には、AIを現場で活用しやすいCTI「BrightPattern(ブライトパターン)」が採用されています。
さらに、高解像度VOC分析を可能にする「VoiceMill(ボイスミル)」についても説明されました。
文章だけでは伝わらない「AI導入の思考法」を動画で
本記事では、ウェビナー内容の一部をご紹介しましたが、
- AIコンタクトセンターの具体的な中身とは
- どこから手を付けるべきか
- 自社に当てはめるとどう考えるべきか
といったAI導入の思考プロセスは、ぜひアーカイブ動画でご覧ください。
とくに「AI導入」が、
- PoCで止まった経験がある方
- 現場に定着せずに悩んでいる方
- 期末の残予算の効果的な施策にならないか思案中の方
にとって、多くのヒントが得られる内容となっています。
▶ ウェビナーアーカイブはこちら
「AI導入で失敗した理由が、ようやく腑に落ちた」 「この順番で考えればよかったのか」 、そう感じていただけるはずです。
ぜひ、アーカイブ動画で全編をご視聴ください。
