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OMO戦略とは?カスタマーサポートを成功させるツールと参考事例

Online merge offline (OMO) concept. Borderless marketing channel conbination strategy creating new opportunities, sales increasing. Hand puts wooden cubes with combination of online and offline icon.

OMO(Online Merges with Offline)とは、優れた顧客体験を目指してオンラインサービスとオフラインサービスを融合する施策のことです。マーケティング施策として語られることが多い用語です。

しかし今回はカスタマーサポートとして、OMO戦略をどのように成功させるのか解説していきます。OMO戦略に役立つツールや、参考にできる中国の成功事例を紹介するのでご覧ください。

海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、16年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。

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OMO戦略とは

OMO戦略とは、オンラインサービスのメリットとオフラインサービスのメリットを活用し、顧客体験を向上させていく戦略を意味します。

たとえば、化粧品をオフライン(リアル店舗)で試してオンライン(ECサイト)で購入できるサービスで考えてみましょう。リアル店舗とECサイトを活用する施策は従来からあるように思えますが、OMO戦略では一歩進んだカスタマーサポートを行います。

リアル店舗の店員が少ないときにチャットボット、ビデオコミュニケーション、デジタルヒューマンで顧客対応を実施します。ECサイトでは、チャット、ビデオコミュニケーション、複合現実(MR)技術を使った遠隔サポートを行えます。

OMO戦略は、家具、PC用品、登山用具など試さないと使い勝手がわからない商品に有効な戦略です。

上記はほんの一例です。ほかにもOMO戦略には、webサイト(オンライン)からリアル店舗(オフライン)へ誘導することや、アプリ(オンライン)で申込みをしてリアルなサービス(オフライン)を利用することが含まれます。

OMO戦略とは、もはやオンライン、オフラインという括りをなくしたシームレスな考え方が求められる戦略です。

OMOに関連する用語解説

OMO戦略について語る場合によく使われる用語を理解しておきましょう。

ビフォアデジタル

ビフォアデジタルとは、オフラインサービスが中心の時代のことです。リアル店舗が中心のサービスを提供し、ときにデジタルのオンラインサービスを使ってもえればよいという考えです。

アフターデジタル

アフターデジタルでは、オンラインでのサービスが中心にあり、その中にオフラインでのリアルなサービスが包含されています。OMOはアフターデジタルの象徴のような用語です。

もちろん用語の定義にはいろいろありますが、簡単に説明すると上記のようになるでしょう。

O2O 

O2O(Online to Offline)とは、Webからリアル店舗へ誘導する施策のことです。リアル店舗での人間によるサポートが中心にある考え方です。

マルチチャネル

マルチチャネルとは、企業が持つ販売チャネルやカスタマーサポートチャネルが並行して運用されている状態です。

各販売チャネル(リアル店舗、ECサイト、カタログ通販)や、各カスタマーサポートチャネル(電話、webサイトの問い合わせフォーム、Eメール、チャット、SNS)が連携されずに運用されている状態をマルチチャネルといいます。

オムニチャネル

オムニチャネルは、マルチチャネルで触れた複数のチャネルが連携して運用されている状態です。顧客データや、問い合わせ履歴が一元管理されています。

マルチチャネルでは各チャネルを足し算にして成果を出していきますが、オムニチャネルでは掛け算で成果を伸ばしていけます。

OMO

OMOでは、販売チャネルや問い合わせチャネルを区別しながら考えることはしません。リアル店舗とECサイトを一つのサービスとして考え、顧客体験をどのように向上させるかを考えていきます。

顧客が一つのプロダクトを買う体験、一つの問い合わせをする体験上で、オンラインとオフラインを意識せず利用できることがOMOの特徴です。

OMO戦略に必要なツール5選

カスタマーサポートとしてOMO戦略を成功させるために必要なツールとは何でしょうか。

チャットボット

チャットボットは従来web上に設置されていました。最近では、リアル店舗にチャットボットを設置している企業が増えいます。

チャットボットがリアル店舗で利用できることで、店員が身近にいるかいないかに関係なく、顧客は商品に関する質問の答えをすぐに得られます。

アメリカでは、各商品にQRコードを設置し、顧客のスマートフォンでスキャンすれば、チャットボットへ質問できるようになっています。

1⃣お客さまはコードレス掃除機の購入を検討している際に「充電中でも使えるか」「ペットの毛を吸える吸引力はあるか」とチャットで質問
2⃣その後スマートフォンでそのまま商品を購入
3⃣最後に送られるQRコードで、商品を帰り際にピックアップ

小売業界ではチャットを中心としたカスタマーサポートやマーケティング施策のことを、チャットコマースと呼んでいます。

小売DXのひとつとしてチャットコマースが注目されています。チャットボット、有人チャット、メッセージングの導入がアメリカを初め、日本のエンタープライズ企業で進んでいるのです。しかし多くの企業はまだ「チャットサポートに力を入れるか迷っている」「チャットサポートの将来性がわからない」「チャット運用を始めたらどんな使い方ができるかイメージできない」と感じているかもしれません。今回の記事では、小売DXにチャットコマースが欠かせない3つの理由を考えます。最後にはチャットコマースの最新事例を動画付きで紹介します...
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モバイルアプリ

OMO戦略では、顧客のスマートフォンをいかに活用するかがカギになります。とくにモバイルアプリを使って注文、決済、問い合わせを済ませられる施策は効果的です。

リアル店舗にいてもモバイルアプリを使って商品購入ができたり、オンラインで実商品のお試し予約ができたりする施策が始まっています。

さらにスマートフォンからのお問い合わせに、VIVR(ビジュアルIVR)を採用し、顧客の自己解決をサポートできます。企業アプリに、ビデオコミュニケーション機能をSDKで搭載し、効率の良いサポートを実施することも可能です。

コールセンターの運営やBPOのIT担当者は「呼量削減をしなければいけない」「CX向上が必要だ!」「顧客がwebで自己解決できる導線が必要」といった課題を抱えることがあるかもしれません。解決策として、VIVRと呼ばれるビジュアルIVRの導入を検討することがあるでしょう。そこで今回はビジュアルIVRとは何か、さらにコールセンターへビジュアルIVRを導入する3つのメリットを解説していきます。後半には、ビジュアルIVRの活用事例や、おすすめ製品も紹介しますのでご覧ください。コロナ禍を機にデジタルチャネルの拡充が進みました。その...
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サイネージ

サイネージと呼ばれる電子看板を使って、OMO戦略を行っている企業が増えています。AIチャットボットデジタルヒューマンをサイネージと組み合わせることがあります。

小売業界は2020年から2021年にかけて大きな変化を経験してきました。大手コンサルティング会社Deloitteは、2020年初頭に「今年は『不確実性』が重要なキーワードになるでしょう」と述べていました。パンデミック前の言葉とはいえ、「不確実性」は小売業界の現状をうまく表しています。コロナ渦の影響が強くなった2020年3月以降、消費者のショッピングの方法は変化し続けています。パンデミックの荒波に取り組んでいるリテール(小売業)の担当者は、「今後、小売業界のトレンドがどう変化するのか知りたい」と思われるかもしれません。...
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データ管理ツール

OMO戦略には、データ管理ツールが欠かせません。なぜならオフライン(リアル店舗、コールセンター)とオンライン(webサイト、チャット)でデータを連携する必要があるからです。

オムニチャネル対応のコールセンターシステムや、コールセンター用web解析ツールなどが活躍します。すでに導入しているCRMと簡単に連携できるツールを使ってください。

チャネル管理ツール 

前述のデータ管理ツールでも説明しましたが、OMO戦略では、チャネル間をシームレスに管理する必要があります。オムニチャネルに特化したコールセンターシステムや、問い合わせ管理システムを使うならカスタマーサポートがしやすくなります。

オムニチャネルに特化した最新コールセンターシステムでは何ができるでしょうか。たとえば、顧客が自宅のPCからチャットを開始し、同じ問い合わせを外出先でLINEを利用して続けられます。途中から電話に切り替えて話すことも可能です。

問い合わせ管理システムもOMO戦略に貢献できるツールにしましょう。メール対応だけに特化したツールではなく、チャット、ビデオコミュニケーション、画面共有、アプリ、電話などすべてのチャネルを一つの受信トレイに集約できるツールが便利です。

OMO先進国である中国の成功事例

OMOという言葉を提唱し始めたのは、中国の李開復という人物です。李開復氏は元Googleチャイナのトップで、現在中国のベンチャーキャピタル「シノベーションベンチャーズ」を率いています。そしてOMO発祥の地である中国が一番OMO戦略が進んでいます。

平安保険(PING AN)の事例

OMO戦略の成功事例として、中国の大手保険会社である平安保険(PING AN)グループに注目してみましょう。平安保険グループのOMO成功事例を4つのポイントで解説します。

車両保険

平安保険は自動車保険の分野でOMOを推し進めています。ビデオコールセンターを設置し、迅速な事故調査と保険金請求を実現しています。

一例を見てみましょう。2022年5月に上海在住の保険加入者が接触事故を起こしました。しかし平安保険のビデオコールサービスを使って、わずか3分40秒で損害調査と請求処理が完了したのです。

従来であれば、事故後に調査員が出張して写真を撮るか、加入者自身が写真を取らなければならず時間がかかっていました。しかしビデオコールによって、一回の通話で損害調査と請求が同時に行われました。

現在このビデオコールシステムは上海、安徽、河南、四川、温州などの50,000人以上へ提供されています。調査時間は従来より平均58%短縮され、ユーザー満足度は6%増加しました(弊社リサーチによる)。

医療サービス

平安保険はモバイルアプリを使って医療サービスを提供しています。利用者はアプリを使って評判の良い医療機関を簡単に調べることができ、アプリで予約まで行えるサービスです。病院によって診断の質が大きく異る中国において高く評価されています。

平安保険のアプリでは、患者が医師へチャットで質問や相談をすることもできます。

補足情報:最近ではMR(複合現実)による遠隔サポートツールが医療現場で活用されています。遠隔地にいる医師が患者の様子や状態を確認し、医療指導を行うことができます。

マーケティング施策 

平安保険では顧客のデータを細分化して管理しています。顧客を年齢や性別といった大枠でくくってデータ解析するビッグデータ方式ではなく、個票データと呼ばれる方式を採用しているのです。

個票データでは、顧客一人一人の情報が細かく分析されます。結果、パーソナライズされたサービスが提供でき、顧客満足度は向上していきます。

人間によるサービスの充実

OMO戦略では、オンライン上の施策に注意が行きがちです。しかし平安保険ではリアルなサービスの充実にも力を入れています。

営業担当者の数を増やし、顧客とのリアルなコミュニケーションが密に取れるようにしているのです。オンラインで収集した個票データを人間の担当者が活用して、優れた顧客サービスができるようにしています。

国内におけるOMO戦略の取り組み

国内ではOMO戦略に関するどのような取り組みがあるでしょうか。

日本ロレアル社

フランスに本部がある大手化粧品会社ロレアルグループの日本ロレアル社の事例を見てみましょう。日本ロレアル社ではDXの一環としてOMO戦略に力を入れています。

国内マーケットとOMOについてマーケティング開発本部のCCO前田氏は次のようにコメントしています。

「日本人は対面でカウンセリングを受けるといったサービスを好む人が非常に多い。このため、オフラインとオンラインをスムーズにつなげていきます。オフラインで商品を試してオンラインで購入するといった、OMOの世界を作り出すのが当社の目指す姿です」CCJ2月号

コールセンタージャパン 2022年2月号

オフラインは商品を実際に試して見る機会、またカウンセリングを受けられる機会とし、その後オンラインで購入する取り組みを行っているのです。

日本ロレアル社では、コールセンターに顧客の声を集める役割を割り当てています。VOCを蓄積するプラットフォームを作り、オンラインやオフラインで活動する社員が顧客の声を確認できるようにしているのです。集積されるデータには、@cosme、twitter、楽天ショップのコメントなども含まれます。VOCの分野でもOMOを実践しています。

ビックカメラ

ビックカメラでは「ビックカメラOMO戦略」を推進しています。そのためにセールスフォースとアマゾンウェブサービスを採用しました。

目指すのは顧客がオフラインとオンラインを意識せずに買い物ができることです。集積したデータを活用し、パーソナライズされたお得情報やおすすめ情報を提供していきます。

OMO戦略のために使用するシステムは、「Salesforce Lightning Platform」と「AWS」です。「AmazonConnect」とセールスフォースの「Service Cloud Voice」を連携させる試みも行います。

参考情報:https://diamond-rm.net/flash_news/213539/

OMOに今取り組むべき理由

多くの企業がコストをかけてでもOMO戦略を推し進めていくのはなぜでしょうか。なぜなら消費者の価値観が大きく変わっているからです。

高速インターネットとスマートフォンが普及した今、プロダクトを好きな場所で都合の良いタイミングで購入できるのは当たり前になりました。消費者が価値を見出すのはいかに便利かではなく、購入から消費までの体験です。購入から消費の流れの中で、ストレスが無いこと、自分の好みにピッタリのパーソナライズされた提案があることに価値を見出すのです。

OMO戦略を推進することで、企業側は機会損失を防げます。さらに短期的な売上を向上させられるだけでなく、LTVを向上させていけるのです。

最後に

OMO戦略とは、オンラインとオフラインのメリットを活かして顧客体験を向上させていくことです。カスタマーサポートがOMO戦略を進めるために必要なツールは、チャットボット、デジタルサイネージ、モバイルアプリ、データ管理ツール、チャネル管理ツールです。最近では複合現実(MR)機能搭載の遠隔サポートツールも利用されています。

OMO戦略を実施するためには、まずカスタマーサポートのチャネルの洗い出しをしてください。その後、チャネルの連携を進めていきます。チャネルが連携したあと、顧客がサポートを受ける体験を向上させる施策を行っていきましょう。

OMOによって新たな顧客体験を生み出せます。カスタマーサポートの分野でも、顧客のLTV向上に貢献し、企業に安定した売上をもたらすことができるのです。

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