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2024年の課題と2025年へ向けた戦略:AIと人間が創るコンタクトセンターの世界線

コンタクトセンター市場や関連業界のみならず、ビジネスの世界でも激動の年だった2024年。AIの飛躍的な進化と企業や一般への浸透、顧客接点の多様化、そしてオフィス回帰といった働き方の変化により、企業が直面する課題は多岐にわたっている中、顧客の期待値はこれまでにない高まりを見せています

このような変化の中で、コンタクトセンターの持つ役割は単なる問い合わせの枠を超え、企業と顧客を結ぶ戦略的な顧客接点として機能し続けています。ただしその実現には、単に効率化を追求するのだけではなく、顧客一人ひとりの体験価値を同時に高めていくことが必要となります。

本エントリでは、2024年に話題となった技術的トレンドや業界の課題を振り返り、2025年に向けた戦略を探ります。これからの変革や革新を見据え、一層コンペティティブになるためのヒントを見つけてください。

海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、18年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。

この記事が解決するお悩み

2024年の業界トレンドや技術トレンドをサクッと読みたい

今年のトレンドはうっすら覚えている、でもちゃんと説明できるか不安

来年の戦略的な意味のある話が客先でできるか心配

 

 

数値で見るコンタクトセンター業界の動き

グローバルな事業運営に不可欠なコンタクトセンター市場は活況を呈していて、今後数年間の成長が見込まれるはずだ。

「人」対「人」の音声対話は依然として効果的なコンタクトメソッドである。自動化が台頭しているにも関わらず、この顧客エンゲージメントメソッドに対するオペレータのトレーニングは重要。

対応のテキスト化により、オペレータは問い合わせ客のインテントやインサイトを把握することができるだけでなく、品質改善やオペレータ教育などの貴重な参考情報となる。

顧客の設定するハードルは非常に高くなってきており、それに対応するための業務強化が急務となっている。これには、オペレータの電話応対スキルから、クレームを踏まえた顧客対応を提供するための部門を超えたシームレスなコラボまで、さまざまな要素が含まれる。

2024年に見られたコンタクトセンターの課題を振り返る

こうした統計を踏まえて、2024年に顕著になった課題を見てみましょう。

人材不足とオペレータの離職率

コンタクトセンター業界を襲った、または「襲っている」と現在進行系で表現したほうがふさわしいでしょうか、「人材不足」という深刻な課題がまず挙げられます。これには、単なるオペレータやSVが不足しているというよりも、必要なスキルを持った即戦力で、現場に投入でき得る人材が不足しているというイメージが強いでしょう。

前項の5番目に挙げている「テクノロジー導入の壁」にも少しかかるかもしれませんが、生成AIや自動化といった比較的新しいテクノロジーに対応できる人材が不足しています。また、とくに日本では「カスハラ」が社会問題化しており、それに伴ってオペレータや関連人材の離職率が高いことも人材不足に拍車をかけています。

複雑化する顧客対応

近年、顧客は電話やチャット、メール、SNSなど、複数のチャネルで企業とつながりを持ちます。そのため、カスタマーサポートを提供する企業はオムニチャネル化を図ってきました。その反面、オペレータの顧客対応は複雑化の一途を辿っていることも確かです。

セキュリティとプライバシー問題

今に始まった話ではありませんが、セキュリティとプライバシーは、顧客データを扱うコンタクトセンターにおいて、重要な課題です。とくにAIや情報処理の過程がブラックボックス化しがちな最近のシステムにおいて、顧客データとプライバシーの確保は必須です。

顧客満足度向上への飽くなきプレッシャー

企業にとって顧客満足度の向上は重要なインデックスですが、コロナ禍が完全に終了した2024年においてはそのプレッシャーがさらに高くなっています。

テクノロジー導入の壁

AIやクラウドシステム、オートメーションなど、新技術はどんどん市場に入ってきています。とはいえ、その導入には、なかなかの困難がつきまといます

ここに挙げた課題以外にもたくさん存在すると思いますが、こうした課題を解決する可能性を持ったテクノロジーやソリューションなどが、2024年にトレンドとして出てきたのも事実。次はトレンドに少しフォーカスをあててみましょう。

2024年のコンタクトセンター業界におけるトレンド

2024年のトレンドを5つ紹介していきます。

AIと自動化の普及

AIとAIを活用した自動化は、コンタクトセンター業界に大きな影響を与えました。AIと自動化の普及は、業務効率化と顧客体験の向上が同時に進められる可能性を秘めています。

データドリブンな意思決定

データ分析がより一層深い意味を持ち始めた2024年、コンタクトセンターもデータドリブン型の運営が一般化しつつあります。効率的な運用と質の高い顧客体験の提供が可能となっています。

セキュリティ技術の強化

データ漏えいやサイバー攻撃への懸念が高まる中で、セキュリティ強化も大きなトレンドとなっていました。

パーソナライズ化

「顧客に寄り添った対応」が強く求められています。サービスのパーソナライズ化が不可欠な時代となっています。

音声解析技術

音声解析技術が注目された2024年、顧客とのコミュニケーションの改善や運用効率化に活用されています。

日本語に強い音声認識システム「NamiTechソリューション

2025年にコンタクトセンターが取るべき5つの戦略とは

ここまでで、2024年に明らかになった課題や技術的トレンドを見てきました。これらを踏まえて、2025年に向けてどんな戦略を取ることができるか考えてみましょう。

1. AIと人間のコラボを最適化する

AIの活用は、業務効率化と顧客体験の向上を両立させる可能性を秘めています。一方で、人間を介在させることが非常に重要です。人間のオペレータやSVとのコラボレーションを最適化することが鍵となります。

人間が介在しやすい企業向けAIプラットフォーム「GIDR.ai

2. データドリブンでカスタマーサービスを推進する

データの活用がますます重要性を帯びることになります。

3. セキュリティとプライバシーは最優先

顧客データの保護は信頼を築くために必須です。

4. 顧客体験のパーソナライズ化を加速する

「顧客が個別対応を望む」というトレンドは強まっています。

5. オペレータ育成と働きやすい環境を整備する

オペレータとSVはコンタクトセンターの核となる存在であり、重要な資産です。その育成と業務環境の改善はとても重要です。

新人フォローに最適なオペレータ応対支援AIシステム「Kotonami

最後に

AIと自動化、それらを活用した技術は2024年、コンタクトセンター市場や業界に大きな影響をもたらしました。今後もその影響力はさらに強まるはずです。AIはもう切っても切り離せない存在として、認知され普及しつつあります。しかしAIの導入や活用が業界全体を劇的にイノベートする一方で、その活用には冷静な視点も必要です。

なぜなら、AIはすべての問題や課題を解決して人間の生活やビジネスをハッピーにさせる代物ではありません。AIは膨大なデータを驚くべきスピードで処理し、高速で分析を行うことができますが、「完全」ではありません。

したがって、AIを最大限に活用するには、まず自社のニーズと直面する課題をしっかりと見極めることが重要です。技術そのものを理解するだけでなく、技術やソリューションが自社の目標や目的、運用にいかにしてフィットするかを注意深く検討する必要があります。

それを踏まえ、AIが提案する結果や判断が本当に正しいかを見極めるためのレビューや、顧客の感情や微妙なニュアンスを汲み取る場合の判断プロセスには、依然として人間の感覚が不可欠なのです。ここで重要な意味を持つのが「人間の介在」です。

AIの能力を最大限に引き出すためには、人間によるオペレーションと判断が欠かせません。人間とAIがそれぞれの強みを活かしながら協力するヒューマン・イン・ザループの考え方は、これからのコンタクトセンター運営において大きな役割を果たすはずです。AIのスピードや効率性と、人間が持つ直感や共感能力を組み合わせることで、顧客体験を向上させるだけでなく、業務全体の質を飛躍的に高めることが可能になっていきます。

2025年に向けて、AIと人間の最適なコラボレーションを探り、それぞれの特性を活かした運用を目指しましょう。最終的に、技術だけでなく「人」にフォーカスすることで、顧客と企業の信頼関係をさらに強化できるはずです。

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