先日、11月13日(木)・14日(金)の2日間にわたり、サンシャインシティ・文化会館ビルにて開催された「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2025 in 東京」。
弊社、株式会社コミュニケーションビジネスアヴェニュー(以下、CBA)もブースを出展し、多くのお客さまにお立ち寄りいただきました。ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。
今回のイベント全体を通して感じたのは、「生成AIが『導入』から『運用』のフェーズへ完全に移行した」という熱気です。しかし同時に、現場からは「AIを導入してみたものの、業務がかえって複雑になった」「期待した成果が出ない」といった切実な声も多く聞かれました。
本記事では、イベントの様子を振り返りつつ、CBAが今回のブースで提唱した「AI時代のコンタクトセンターのあり方」についてレポートします。
なぜ、今のシステムにAIを「後付け」してはいけないのか?
今回のCBAブースのメインコンセプトは、『部分最適からの脱却。AI前提の再設計』です。
会場で多くの担当者様とお話しする中で、浮き彫りになった共通の課題がありました。それは、長年使い続けているレガシーなPBXやシステムに、最新のAIツールを「パッチワーク(つぎはぎ)」のように後付けしている現状です。
「DX推進」を掲げてAIツールを導入しても、土台となるシステムが古ければデータはスムーズに連携されず、オペレータは複数の画面を行き来しなければなりません。これでは、現場の負担は増すばかりです。
そこで今回、私たちが強く提示したのは、「改善」ではなく「刷新(リプレイス)」の必要性です。
AIとデータ、そして人材を有機的に結びつけるためには、AI活用を前提とした統合プラットフォームが必要です。その中核としてご提案したのが、弊社の主力ソリューションである「Bright Pattern Contact Center(以下、BPCC)」です。
米国本社役員も来日。開発トップが語る「BPCCのこれから」
今回のイベントには、Bright Pattern米国本社より、製品管理担当ヴァイスプレジデントのセルゲイ・メンシコフ(Sergey Menshikov)も応援に駆けつけました。
彼は、GenesysやFrontRangeなどで25年以上にわたりコンタクトセンター製品の開発を主導してきた、業界の重鎮です。
ブースの来場者やリプレイスを検討されている企業の担当者様、そしてクライアント企業様に対し、製品のロードマップや開発ビジョンを直接説明する場面も見られ、メーカー本社の強力なサポート体制を印象づける機会となりました。
来場者の共感を呼んだ「4つの課題」と解決策
ブースでは、多くのセンターが直面している課題を4つ提示しました。ここでは、それぞれの課題に対してCBAがどのような解決策(ソリューション)を提示したのかをご紹介します。
課題1:AI導入の理想と現実
「AIを入れたいが、基盤が整っていない」
DXの目的が曖昧なままツールを導入しても失敗します。CBAは、BPCCによる「システム基盤の全面リプレイス」をご提案しました。AIを後付けするのではなく、最初からAIの活用を念頭に置いて設計されたプラットフォームへ移行することで、本当の意味での業務効率化とデータ活用が可能になります。
課題2:顧客接点の分断によるCX劣化
「チャネルごとに担当がバラバラで、話が通じない」
電話、メール、チャット…チャネルが増えるごとに情報が分断され、お客さまは何度も同じ説明を強いられます。
BPCCはAIを活用したシンプルなオムニチャネルを実現します。AIが初期対応を担当したり、LINEから電話へ切り替わっても、これまでのやり取り(文脈)がすべてオペレータの画面へ引き継がれたりするため、ストレスのない顧客体験(CX)を提供できます。
課題3:深刻な人材不足と教育コスト
「人が採用できない。新人が育たない」
従来型の採用戦略は限界を迎えています。そこで注目されたのが、BPCCの「エージェントアシスト機能」と「AI WFM(ワークフォースマネジメント)」です。
AIが会話の内容を理解し、リアルタイムで回答候補を提示することで、新人でもベテラン並みの対応が可能になります。また、Excelで行っていた複雑なシフト管理もAIに任せることで、SVの負担を劇的に軽減します。
課題4:AI時代の新セキュリティリスク
「『なりすまし』の脅威からどう守るか」
AI音声合成技術の進化により、電話口での本人確認が難しくなっています。
これに対する解決策として展示したのが、声紋認証ソリューション「VoiceDNA」です。パスワードや生年月日を言わせることなく、お客さまの「声」だけで瞬時に本人確認が完了。セキュリティ強化と対応時間の短縮を同時に実現します。
既存システムに追加できる「AI統合設計戦略の第一歩」としての各種ソリューション
今回のブースでは、コンタクトセンターシステムの全面リプレイスを検討していないお客さまからも多くの関心をお寄せいただきました。
とくに、既存のコンタクトセンターシステムに“後付け”でき、将来的なAI統合設計の基盤となるソリューションが好評でした。ここでは、来場者から反響の大きかった3つのツールをご紹介します。
■ NamiSense(高精度音声認識)
「AIの要約がいまひとつ」「お客さまの声を正確に拾えていない」といった課題に応える、コンタクトセンター特化型の高精度音声認識エンジンです。
既存システムに追加するだけで、日本語の認識精度が大幅に向上し、AI要約やFAQ自動生成の精度向上に直結する“AIの耳”として高い評価をいただきました。
■ GIDR.ai(ナレッジ統合・検索AI)
センター内に散在するマニュアル、FAQ、トークスクリプトなどのナレッジをAIで統合し、オペレータが会話を止めずに必要な情報を取得できる環境を実現します。
新人の即戦力化や応対品質向上に関心を持つ来場者が多く、「まずはここからAI活用を始めたい」という声を多くいただいたツールです。
■ VoiceDNA(声紋認証・セキュリティAI)
お客さまの“声”だけで本人確認ができる、次世代の音声認証ソリューションです。
なりすまし防止や応対の高速化(本人確認の時間を半分以下に短縮)、セキュリティ強化の観点から注目を集めており、AI時代のリスク対策として多くの企業が足を止めていました。
来場者の反応・関心
CBAブースには連日、さまざまな業界・業種の方にお立ち寄りいただきました。現場で直接お話しを伺う中で、特に熱量の高さを感じたのが「人手不足対策」と「教育コストの削減」という2つのテーマです。
「AIを活用して、オペレーターのトレーニングを効率化できないか?」
「新人を早く戦力化するための具体的な方法を知りたい」
こうした切実なご相談が絶えませんでした。その中で最も頻繁にいただいたのが、「AIは具体的にどうやってオペレーターを助けてくれるの?」というご質問です。
もはや「AIで何ができるか」という概念的な話ではなく、実際の業務フローの中でAIがどう機能し、どう負担を減らしてくれるのか。来場者の皆様が、AIの「実用性」を厳しく見定めている姿勢が印象的でした。
また、対話を通じて見えてきたのは、単なるツールの継ぎ足し(部分最適)に限界を感じ、センター全体をカバーできる「統合プラットフォーム」への期待が高まっていること。そして、AI時代ならではのリスクに備える「セキュリティ(とくに、声による本人確認)」への関心の高さでした。
【特別企画】株式会社SHIFT PLUSとの共同出展・セミナー開催
本イベントでは、システムだけでなく「運用」の面からも課題解決を提案するため、株式会社SHIFT PLUSとの共同出展を行いました。
ブース内では、CBAの「Bright Pattern Contact Center」と、SHIFT PLUSのAIハイブリッドオペレーションサービス「AICO(アイコ)」を連携させたソリューションを展示。「プラットフォーム(CBA)」×「現場運用(SHIFT PLUS)」の掛け合わせが、これからのセンター運営にいかに重要かをお伝えしました。
また、イベント2日目には共同セミナーも開催し、多くの聴講者にお集まりいただきました。
- セミナータイトル:
『なぜ、あのセンターは成果を出せるのか?プラットフォーム活用x現場運用が成功法則の鍵となる』
優れたシステムを導入するだけでなく、それを現場でどう使いこなし、成果につなげるか。AI時代における「システム×運用」の成功法則について、両社の強みを交えながら解説を行いました。
出展製品とデモ内容のまとめ
CBAブースでは、以下の主要製品/ソリューションの紹介とデモ展示が行われました。
- Bright Pattern Contact Center(BPCC)
- 概要:AI統合型プラットフォーム。チャネル管理、オペレータ支援、WFM などを一元化。
- エージェントアシスト機能:AI がオペレータの応対を支援し、顧客との会話をリアルタイムでサポート。
- ワークフォースマネジメント(WFM)機能:AI を活用したリソース最適配置。チャネル増加に伴うシフト管理などを自動化。
- URL:
- NamiSense
- 概要:高度な音声認識ソリューション。AI による要約や文字起こしを高精度で実現。
- URL: https://namitech.cba-japan.com/namisense/
- VoiceDNA
- 概要:声紋認証ソリューション。本人確認やなりすまし検知など、音声セキュリティを強化。
- URL: https://namitech.cba-japan.com/voicedna/
- GIDR.ai
- 概要:ナレッジ統合/オペレータ支援 AI。散在するセンターのナレッジを統合し、AI を通じて即時参照を可能にする。
- URL: https://gidr-ai.cba-japan.com/
デモ内容:
- S2S AI エージェントデモ:AIが音声を受け取り、自然な会話で応答。IVR不要の流れを実演。(デモの詳細はこちらから→https://brightpattern.cba-japan.com/callcenter-hack/s2s/)
- AI 声紋認証デモ:来場者が自身の声で本人確認を体験、なりすまし検知の仕組みを紹介。
最後に
今回のイベント出展を通して、改めて確信したのは、「コンタクトセンターは今、大きな転換点にいる」ということです。
単に電話を受けるだけのコストセンターではなく、AIとデータを駆使して利益と価値を生み出す「プロフィットセンター」への転換。そのためには、古い仕組みを修正しながら使うのではなく、AI時代に合わせた「再設計」が不可欠です。
- 「現行システムの保守切れが近い」
- 「AIを使ってオムニチャネル化したいが、何から始めればいいかわからない」
- 「まずは特定の課題だけスモールスタートで解決したい」
CBAでは、お客さまのフェーズに合わせ、BPCCによる全面刷新から、GIDR.ai、NamiSenseやVoiceDNAのような個別課題解決まで、最適なプランをご提案いたします。
ブースでご説明しきれなかった詳細や、デモのご要望などがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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