「社内ヘルプデスクの業務が増えている」「社外ヘルプデスクの顧客満足度が低い」といった課題を抱えている企業は少なくありません。とくにOutlookなどの一般のメーラーをヘルプデスクで活用している企業に見られる課題です。
ヘルプデスクの業務を効率化し、顧客満足度を向上させていくためには自動化が必要です。今回はヘルプデスクへ自動化を導入するメリットや、役立つツールの特徴について解説します。AIを使った自動化についても説明するので参考にしてください。
海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、15年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。
カスタマーサポートを効率化させる2つのポイント|AI活用とKPI設定 - TPIJ by CBA |
2つのヘルプデスク業務
ヘルプデスクとひと言で言っても、扱う業務は多岐にわたります。大きく分けると社内業務と社外業務へ分類できます。どのような業務を行うのでしょうか。
ヘルプデスクの社内業務
社内ヘルプデスクでは、社員からの問い合わせに答えるのが主な業務です。社員たちが使うツール、ソフト、システムなどの質問に答えます。休み明けに多いのが「ログインができない」「パスワード忘れた」などの問い合わせです。
さらに各社員に支給されているPCや各部署にあるコピー機の問い合わせに対応することもあります。中小企業の場合、社内ヘルプデスク業務を情報システム部が扱うケースが多いです。
ヘルプデスクの社外業務
社外ヘルプデスクは顧客の問い合わせに対応します。新規顧客や既存顧客からの質問に対応するのが主な業務です。社外ヘルプデスク業務をBPOへ依頼したり自社のコールセンターで対応したりしている企業が多いです。規模が小さな企業では数人の社員で顧客対応をしています。
ヘルプデスクの課題
ヘルプデスクの課題は、資料を探すのに時間がかかるということです。「ヘルプデスクはなんでも屋」と考えられがちです。社内業務でも社外業務でも「とりあえず何かわからないときはヘルプデスクに聞いてみよう」と頼られます。
そのため問い合わせ内容が多岐にわたり、返答するための資料を検索するのが大変です。過去の問い合わせ内容や社内資料、CRMなどをさまざまなキーワードを使って探さなければなりません。
ある調査によると、バックオフィスのスタッフは答えを探す作業のために最大38%の作業時間を無駄にしています。
規模が小さなヘルプデスクであるほど、自分たちの本来の業務を横において、社内や社外からの問い合わせ処理にかかりきりになる傾向があります。
Outlookではヘルプデスク業務に対応できない
中小企業のヘルプデスクでは、問い合わせの受付にOutlookなどのメーラーを使っていることがあります。しかしOutlookでは以下の理由からヘルプデスク業務を効率的に行えません。
- ナレッジ管理ができない
- 顧客のデータベース管理が不得意
- 各システムとの情報の共有・同期ができない
まず一般のメーラーを使って問い合わせ管理をしていると、ナレッジの蓄積ができません。せっかく調査をして返答した内容が蓄積、共有されないので、同じ質問がきたときには再度調査する必要が出てきます。
同じ顧客から日付を変えて同じ質問が続くときも、情報が管理されていないので、毎回同じ内容をヒアリングしてしまう事態も発生します。
業務を効率化させ、カスタマーサクセスを実現するにはヘルプデスク業務に特化したメーラーが必要です。
ヘルプデスクに自動化が必要な理由
増え続けるヘルプデスク業務を効率化させるには自動化が必要です。「自動化なんて難しいことをせずに人を増やせば良い」と考えるかもしれません。
しかし人が増えれば業務はより複雑化します。対応手順や対応内容の情報共有は人が増えるほど難しくなるからです。さらに人件費という負担が企業にのしかかります。
そこで最も効率よく低予算で業務を効率できるのが自動化なのです。実際に海外ではヘルプデスク業務を自動化する動きが加速しています。
アクンチュア社のマネージングディレクターでAIの専門家であるイエルク・ベジエ氏は「日常的に行われている業務はまず間違いなく自動化されるでしょう」と述べています。2025年には経営やバックオフィスにおける80%の案件がほぼ自動で処理されると予想しています。
AIでヘルプデスクを自動化させるメリット
ヘルプデスク業務を自動化させるのに貢献してくれるのがAIです。AI機能が搭載されているヘルプデスクツールは、ワークフローを自動化し、業務プロセスを整理整頓してくれます。
AI機能を活用し、ヘルプデスク業務を自動化することにはどのようなメリットがあるでしょうか。
メリット1. 対応時間の短縮
ヘルプデスクへの問い合わせ方法としてチャットの利用率が年々増加しています。ある企業は自動化のためにヘルプデスクへチャットボットを導入しました。
しかしチャットボットの回答精度が高くないので、結局人間が対応しなければならず、業務は思ったより効率化していません。
AI機能があるチャットボットであれば、問い合わせの文脈をAIが理解して自動で返信します。もしAIが回答できなければ、適任の担当者へ自動でルーティングします。結果として対応時間を短縮できるのです。
メリット2. コスト削減
AIが得意なのは次の3点です。
- 問い合わせてきた顧客の情報を収集すること
- 適任者へエスカレーションを数秒で行うこと
- 担当者へ最適なナレッジを提案すること
ヘルプデスク担当者はAIにサポートしてもらうことで、今までより多くの問い合わせを処理できるようになります。今までと変わらない人員で今まで以上の問い合わせを処理できるのです。
AIとコンタクトセンターのROIに関する調査では、AIチャットボットの採用によって、ヘルプデスクから顧客への通話が減り、33%のコスト削減ができたとのことです。
メリット3. 上質なサービスを提供
AIは日々の業務を分析することで進歩します。顧客と担当者が日々行うやり取りのログを解析して賢くなっていくのです。
顧客の行動、アンケート回答、クレーム内容を解析し、人間が分析しやすいように表示してくれます。ヘルプデスク担当者はダッシュボードを確認するだけで、顧客が本当に喜ぶサービスは何かを知ることができます。
メリット4. ヘルプデスク担当者の負担軽減
業務をAIがサポートしてくれるので、担当者は余裕を持って働けます。一つ一つの問い合わせの時間が短縮したり、顧客からのクレームが減ったりするので担当者のストレスが軽減されます。
ヘルプデスク担当者の満足度や生産性が向上し、離職率が下がっていくでしょう。パフォーマンスの高い担当者が対応するので、顧客満足度も向上していきます。
メリット5. ブランディングができる
ヘルプデスクの対応品質が向上することはブランディングに繋がります。AIがよくある問い合わせの部分を自動で対応してくれる分、人間の担当者はよりサポートが必要な顧客へ時間を割くことができます。カスタマーエクスペリエンスの向上につながるのです。
良いサービスを受けたことは「神対応」と呼ばれてSNSですぐに拡散されます。企業イメージはヘルプデスク利用者の口コミでより好ましいものになっていくのです。
さらに「ヘルプデスクにAIを採用して自動化した」ということ自体ブランディングに繋がります。先進的な企業、イノベーターとして業界で認知されることでしょう。
ヘルプデスクの自動化は「見える化」から始めよう
「ヘルプデスクの自動化は何から始めるべきかわからない」と思われるかもしれません。最初に行うべきなのは、今行っている作業のプロセスを見える化することです。この作業はワークフローの視覚化と呼ばれることがあります。
ワークフローの視覚化をする際には4つのジャンルごとに行うと良いでしょう。
- 主要なワークフロー▶︎IT、財務などの主要なビジネス業務
- 補助的ワークフロー▶︎サポートサービス
- 社員用ワークフロー▶︎HR
- 顧客用ワークフロー▶︎販売、マーケティング、顧客サービス
まず各ワークフローの作業を視覚化するようにします。大抵、ヘルプデスクでの業務はプロセスが文書化されていません。暗黙の了解で業務が進んでいることがほとんどです。これでは最適化されません。
一度ヘルプデスクの作業を見える化することで、AIをどこに介入させて自動化させるべきかが見えてきます。ヘルプデスクの自動化はワークフローの視覚化から始めましょう。
最新AIヘルプデスクツールの特徴
ヘルプデスクの自動化に役立つのが、最新AIヘルプデスクツールです。市場で評価されているツールの特徴とは一体何でしょうか。
チケット管理
一般的なヘルプデスクツールは顧客の問い合わせをチケットとしてナンバリングし、管理することが得意です。最新のツールでは、AIが一歩進んだ管理をしてくれます。自動でチケットのカテゴリ分け、優先順位付けをしてくれるのです。
いつでもチケットが整理されているので短時間で問題解決が可能です。顧客満足度と利用者のブランドロイヤルティが向上します。
マルチチャネル対応
顧客が問い合わせる方法は電話だけではありません。電子メール、チャット、ソーシャルメディアなどのチャネルが使われます。最新のヘルプデスクツールは、すべてのチャネルからの問い合わせを一元化してくれます。
顧客がどのチャネルから問い合わせても、情報が一元化されているので継続的なサポートが可能になります。
ワークフローの自動化
人気のヘルプデスクツールは、ワークフローを自動化してくれます。自然言語処理(NLP)やビジネスプロセスモデリング(BPMN)などの高度なテクノロジーを活用し、カスタマーサービスのプロセスを自動化します。
自動化と聞くとプログラミングが必要と感じるかもしれません。しかし最近のツールはノーコード、もしくはローコードで行えます。自動化のアクションを専門的な知識無しで設定できます。
既存システムとの統合
ヘルプデスクツールを導入しても、すでに使っているシステムと統合できなければ業務は効率化されません。社内で使用しているCRMやCTIと統合できる製品は使い勝手が良いです。
ナレッジ管理
最新ヘルプデスクツールは、ナレッジ管理を自動で行います。社内ヘルプデスクに関するナレッジや顧客が必要なナレッジを、セルフサービスポータルで共有してくれるのです。
社員や顧客はわからないことがあれば、ポータルサイトを使って自分で見つけられるようになります。
セキュリティ
ヘルプデスクには顧客情報、社内で使う製品やインフラの情報が保管されています。高いセキュリティ機能を持ったツールを使うことが必要です。
セキュリティインシデントの多くは人為的なミスに関係しています。使用する社員が使いやすいUIであることが必須です。さらに二要素認証などの最新技術を採用しているツールであると安心です。
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分析の簡単さ
AIが搭載されているヘルプデスクツールは分析が簡単です。収集した膨大なデータをAIが整理し、見える化してくれます。
KPIも自動で分析してくれるので、業務を改善すべきポイントを早期発見できます。
顧客満足度アンケート
社外ヘルプデスクの業務をレベルアップするには顧客からのフィードバックが不可欠です。アンケートを実施する機能がついているヘルプデスクツールは便利です。
絵文字を使ったアンケートは返答率も高くなります。アンケート結果を分析するならカスタマージャーニーを改善するポイントが見つかるでしょう。
AI
AIはヘルプデスクの担当者が繰り返し行う業務から開放してくれます。適切な担当者へのルーティングも得意ですので、顧客のたらい回しを防ぐこともできます。
失敗しないヘルプデスクツールの選び方
「自動化」できるヘルプデスクツールはたくさんあります。失敗しないヘルプデスクツールの選び方で大切なのは、自動化のルールを誰が決めるかという点です。
従来の自動化ヘルプデスクツールは、自動化のルールを「人間」がつくならければなりませんでした。「もし~だったらA、それ以外はB」というようなルールベースのワークフローを使って自動化を行っていたのです。
最新のヘルプデスクツールは、機械学習により、パターン化された業務プロセスを「AI」が発見し、ワークフローを自動化してくれます。パターン化されたよくあるプロセスはAIが行ない、担当者はより複雑な業務プロセスに集中できます。
ヘルプデスクツールを選ぶときには、AIによる自動化が可能かどうかチェックしてください。
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最後に
社内、社外に関わらずヘルプデスク業務を効率化させるにはOutlookなどのメーラーではなく、ヘルプデスクツールを使用するのがおすすめです。
最新のヘルプデスクツールには、問い合わせメールの管理や、対応内容の管理をAIが自動化してくれる機能が搭載されています。問い合わせ対応に必要なナレッジをAIが担当者へ教えてくれる機能もあります。
業務が自動化することで、ヘルプデスク担当者の負担を和らげられます。担当者は資料の整理や検索ではなく、顧客への対応に集中できるので顧客満足度が向上していきます。
ヘルプデスク業務を次のレベルへ引き上げるには、自動化が得意なツールを選んでください。
ヘルプデスクの業務改善や製品選びでご相談されたいときには株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューへお問い合わせください。
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