新たにコールセンターを立ち上げたり、システムの入れ替えをしたりするときに必要になるのがコールセンターシステムの選定。しかし数あるコールセンターシステムを比較して優れた製品を選ぶのは大変です。
「コスパが良いコールセンターシステムを見つけたい」「稟議を早く通すためできる限りコストを抑えたい」「でも使い勝手の良い製品を選びたい」と思われるかもしれません。
今回は、クラウド型コールセンターシステムの失敗しない比較方法を9つ紹介します。ただ単にコストを抑えるだけでなく、効率的に業務が行えるシステムの選び方を解説するので参考にしてください。
コールセンター最新トレンドから見えてくる課題と解決策 - TPIJ by CBA |
海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、15年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。
コールセンターシステムの価格相場
最初に知っておきたいのがコールセンターシステムの価格相場です。一般的なコールセンターシステムの相場は1席あたり5000円~2万円です。
注意したいのは組み合わせる機能や導入席数によって価格が変わることです。後述しますが、コールセンターシステムは製品単体の価格だけでなく、導入費用も別途かかります。
失敗しないコールセンターシステムの比較方法9つ
コールセンターシステムの価格は、1席5000円を切る格安の製品から1万円を超える製品まで幅広くあります。製品選びで気をつけたいのは、安い価格の製品を導入したものの業務をするには物足りない、逆に高い製品を導入したら機能が多すぎて使い切れないということが起き得ることです。
価格だけに惑わされずにコールセンターシステムを選ぶためにはどうしたらよいでしょうか。費用対効果が高い製品を選ぶための比較方法9つを紹介します。
ネームドライセンスに注意する
コールセンターシステムを比較する際、ネームドライセンスで価格を提示している製品に気をつけてください。1ライセンスあたりの価格は安くても、トータルで高額になることがあります。
ネームドライセンスとは、オペレーター1人あたりに支払金額が発生する仕組みです。席数ではなくオペレーター1人1人にライセンス料が発生します。この仕組だと高額になってしまうのはなぜでしょうか。
たとえば24時間体制のコールセンターで10席4シフトで回した場合、ネームドライセンスでは40人分のライセンス料が必要になります。
しかし席数カウントの製品であれば10席分のライセンス料だけで済みます。
いつも少人数で決まったオペレーターだけで回しているコールセンターであればネームドライセンスのメリットがあります。しかし契約社員やパートも含めて一定数のオペレーターで運営しているセンターでは、席数カウントの製品のほうがお得です。
意外と高い初期費用に気をつける
コールセンターシステム単体の価格だけに注目しないようにしましょう。実はコールセンターシステムの導入には、製品価格以外に初期費用がかかります。SIerやベンダーが請求する初期費用が意外と高いことがあるので注意してください。
コールセンターシステムの導入には様々な作業が必要です。既存システムとの連携、企業のネットワーク要件に合わせたカスタマイズ、ポートの開放や帯域確保などの調整が必要になります。サポートの工数が多くなるほど価格は高くなっていきます。大手SIerほど初期費用が高額になるので気をつけてください。
中堅のSIerやベンダーのほうが融通を利かせて作業をしてくれるにも関わらず費用が安いことがあります。
必ず製品価格だけでなく、「初期費用」「導入費用」といった項目も比較してください。
オムニチャネル対応
コールセンターシステムはオムニチャネル対応がおすすめです。オムニチャネルとは電話、メール、チャット、SNS、SMSなどのチャネルをまたいで対応できる機能です。
もしオムニチャネルに対応していれば、全てのチャネルにおける顧客情報や履歴を一元管理できます。お客さまの「スマートフォンを使ってLINEやビデオ通話で問い合わせたい」ニーズに対応できる機能です。
コールセンターをオムニチャネル化させる3つの方法|失敗例も紹介 - TPIJ by CBA |
必要な機能を選定する
コールセンターごとに必要になる機能は異なります。入呼時にお客様情報だけが表示されればよいのか、ACDで入呼を分散させたりIVR対応をしたりする必要があるのか検討してください。
コールセンターの課題がわかっているものの、どの機能でそれが解決できるかわからないときはSIerやベンダーへ相談してください。従来のシステムでは高い費用が必要だった機能が、今では気軽に利用できる場合があります。
拠点拡張の柔軟性
コールセンター拠点が今後拡張される可能性があるでしょうか。一時的にでも拡張する可能性があるなら簡単に席数を増やせる製品を選んでください。製品によっては拡張するたびに大きなシステム変更が必要なことがあります。
1席あたりの価格がキャンペーンで安くなっていても、拡張する席数には適用されないことがあるので気をつけましょう。
CRM連携が可能
すでに自社が使っている顧客管理システム(CRM)と連携できるか確認してください。コールセンターシステムによっては連携できるCRMが限られていることがあります。
連携ができたとしても、工数の多い作業が必要になり、初期費用が高額になるケースがあるので注意しましょう。
おすすめは、主要なCRMとネイティブ連携が可能な製品です。ネイティブ連携ができる製品であれば統合するための作業も時間も必要ありません。
操作がしやすいか
コールセンターシステムは操作がしやすいUIであるほど運用が簡単です。オペレーターがすぐに使いこなせるので研修時間が短くて済みます。さらにオペレーターのミスも減って顧客満足度が向上します。
一つの画面ですべてのチャネル情報を確認できるコールセンターシステムはオペレーター満足度が高いです。操作画面を事前に動画や無料デモで確認するようにしましょう。
AI連携が可能
AIで音声を認識させるシステムに対応している製品は人気があります。お客さまとの会話に出てきたキーワードをAIが分析し、オペレーターにナレッジを表示したり、お客さまの感情が高まったらSVへアラートを出したりしてくれます。
導入後のサポート
コールセンターシステムの導入後に、回線障害やシステムエラーが発生することがあります。売り切り製品の場合、導入後のサポートを受けられないことがあるので気をつけてください。問題が発生したときに十分なサポート体制があるかどうかを確認しましょう。
コールセンターシステムを長年扱ってきたSIerは、経験豊富なエンジニアが常駐しています。トラブル発生時にはスピーディに対応してくれます。
CBAエンジニアによるお客さまサポートの舞台裏 - TPIJ by CBA |
ベーシックプランにあると便利な機能
コールセンターシステムの価格を比較する際、最初に目につくのが一番価格が安いベーシックプランです。ベーシックプランにどのような機能が含まれているかで製品のコスパの良さがわかってきます。
たとえばどのような機能をチェックするとよいのでしょうか。
コールバック機能
コールバック機能とは、ピーク時にオペレーターへ繋がりにくくなったとき、お客さまが折返し電話を予約できる機能です。オペレーターが空きしだい、お客さまは電話を受け取れます。
コールバック機能があれば長い時間お客さまを待たせてイライラさせません。顧客満足度の向上に直結する機能です。
豊富なアウトバウンド機能
営業やキャンペーン活動をするときに役立つのがアウトバウンド機能です。以下の3つのアウトバウンド機能が付属しているコールセンターシステムは使い勝手が良いです。
- プログレッシブダイヤラー
- プレディクティブダイヤラー
- オートダイヤラー(IVR)
プログレッシブダイヤラーとは、待機状態にあるオペレーターの数に合わせて自動的にシステムがお客さまへ発信してくれる機能です。発信しすぎて応答してくれたお客さまにオペレーターが対応できない事態を防げます。
プレディクティブダイヤラーとは、お客さまリストへ自動発信していき、応答した通話にだけオペレーターをつなぐ機能です。大規模な新規開拓キャンペーンを少ないオペレーターで効率よく行えます。
オートダイヤラー(IVR)とは、自動でお客さまリストへ発信し、応答した方へIVRが話しかける機能です。アンケート調査、予約のリマインド、督促電話などで活躍します。
ベーシックプランに上記の機能がついていない製品は、アウトバウンド用に多数のオペレーターが必要となり運用費用が高く付いてしまいます。
レポート機能
ベーシックプランであってもレポート機能は欠かせません。オペレーターの業務効率や顧客応対状況を把握するためにデータを収集し、分析していく必要があります。あると便利なレポート機能は2つです。
- リアルタイムレポート
- ヒストリカルレポート
リアルタイムレポートは、オペレーターの通話状況やキューの待ち時間をリアルタイムで表示してくれます。ヒストリカルレポートとは、拠点と各オペレーターの稼働状況を1日単位、1週間単位で集計できる機能です。
設定したKPIが達成されているか確認するためにも必要な機能です。この機能があればベーシックプランでも質の高いセンター運用が可能です。
コールセンターシステム選びのよくある失敗
よくあるコールセンターシステム選びの失敗例を紹介します。同じ失敗を繰り返さないためのヒントも解説するので参考にしてください。
情報共有が上手くいかない
コールセンターシステムを導入したものの、スムーズに情報が共有できない事例があります。
たとえばCRM連携がうまくいかず顧客情報を共有できないケースが時々みられます。CRM連携ができないと営業部門の情報とコールセンターの情報が共有されないため、お客さまからの問合せ対応に必要以上に時間がかかってしまいます。
チャネル間の情報共有が上手くいかないケースもあります。たとえばLINEで問い合わせてきたお客さまが、途中で電話へ切り替えたとします。しかし履歴が共有されないので、電話で問い合わせたときに、もう一度最初から別のオペレーターへ説明しなければならないことがあるのです。
情報共有をスムーズにし、顧客満足度を向上させていくには、「CRM連携」「オムニチャネル対応」という点に注意して製品を選んでしてください。
データ分析が難しい
「限られたデータしか収集できないシステム」「データが表示されるダッシュボードが見にくいシステム」を導入した結果、データ分析に膨大な労力が必要になったケースがあります。結局データを分析できる人が専門知識のある人だけになり、分析自体が不定期になってしまいました。
定期的にデータを分析し、品質の高い応対をしていくために必要な製品は、通話状況とお客さまに関するデータを細かく取ることができ、見やすく表示してくれるコールセンターシステムです。
コスパが悪い
機能が複雑で、複数の画面を立ち上げなければいけないコールセンターシステムを導入した結果、オペレーターの研修に時間がかかって費用対効果が悪くなったという事例があります。
費用対効果を上げるには、一つの画面で業務が完結できるオペレーターフレンドリーな製品を選んでください。運用するオペレーターの数自体を減らしたいときには、オートダイヤラー機能(IVR)がついている製品を選ぶのもおすすめです。
コスパの良い製品を見分けるポイント:ROIが高く評価されているかチェック。ROIで受賞歴がある製品は安心して利用できます。
クラウド型コールセンターシステム比較5選
数あるクラウド型コールセンターシステムの中でも、業界内で評価されている5つの製品を紹介します。各製品ごとに以下のポイントを掲載し、比較するので参考にしてください。
- 特徴
- 機能
- 導入事例
- こんな企業におすすめ
- 導入した企業のコメント・評価
- 製品サイト
- 製品の動画
日本や海外における導入事例の情報、ITツール比較サイトITreviewやCapterraの情報も含めて紹介します。「導入した企業のコメント・評価」は、比較サイトに掲載されているものです。
Bright Pattern(ブライトパターン)
米国Bright Pattern社のクラウド型コールセンターシステムです。小規模ビジネスから大企業まで、さまざまな業種において、世界26カ国以上、12カ国語で導入されています。これまでG2 Crowd・CCaaSプロバイダ部門では「ベストROI」「ハイパフォーマー」賞を受賞しています。
■特徴
- KINTONEをはじめ各種CRMと簡単に連携可能
- オムニチャネル対応
- 一画面で全ての顧客情報が閲覧可能
- 世界の金融や医療の現場で認められた鉄壁のセキュリティ
■機能
- 運用開始までの期間が業界最短
- ドラッグ・アンド・ドロップでCRM連携、IVR設定が可能
- IBM WatsonやGoogle AIなど各種AIと簡単連携
■導入事例
ベルシステム24、ロート製薬、アイティ・コミュニケーションズを始め国内でも導入実績が豊富
▶参考情報
https://brightpattern.cba-japan.com/usecases/
https://www.brightpattern.com/bright-pattern-company/case-studies/
■こんな企業におすすめ
・スモールスタートから始めたい
・現場の管理者レベルでCRM・SNS・AIを簡単に連携したい
・導入期間を短く、初期費用を低く押さえたい
・在宅用のシステムを導入したい
■導入した企業のコメント・評価
「現場の要望を製品のバージョンアップ時に反映してくれるので助かる」「費用対効果(ROI)を運用初期に感じられました」
「バージョンアップ時に行われた変更や更新をもっと丁寧に通知してほしい」
■製品サイト
https://brightpattern.cba-japan.com/
■製品の動画
Genesys Cloud CX
優れた顧客体験と従業員体験を実現するために必要な機能を備えたコールセンターシステムです。
■特徴
- オムニチャネル対応
- アプリマーケットプレイス「ジェネシス AppFoundry」による豊富なソリューション
- 低価格なプラン構成
■機能
- 豊富なオープンAPIセット
- AIのサポートで業務効率化
- 多言語対応の対話型IVR
■導入事例
アステラス製薬や外為どっとコムをはじめ国内1400社以上での採用実績
▶参考情報
https://www.genesys.com/ja-jp/customer-stories
■こんな企業におすすめ
- ニューノーマルに対応したコンタクトセンターを構築したい
- 常に最新の機能を使いたい
- 製品コストを抑えたい
■導入した企業のコメント・評価
「Salesforce との連携が標準機能として実装されているのが良いポイント」「リモートフォン機能や社内チャット機能が標準機能であったため、在宅業務が追加コストなしで実現できた」
「リアルタイムレポートのフィルタ条件が共有できるともっと便利」
■製品サイト
https://www.genesys.com/ja-jp
■製品の動画
Biztel
豊富な標準機能と拡張性の高さが魅力のコールセンターシステムです。国内での導入実績が高い製品です。
■特徴
- コールセンターをブラウザから管理できる完全クラウド対応
- 国産コールセンターシステム
- 安定した音声品質
■機能
- わかりやすい稼働状況モニタリング
- ブラウザの中で機能管理ができる
- 電話機がなくても使えるソフトフォン機能
■導入事例
JFRカード株式会社やラクスル株式会社をはじめ国内5年連続導入社数1位の実績
▶参考情報
https://biztel.jp/case/
■こんな企業におすすめ
- 1席から導入したい
- BCP対策になるシステムを使いたい
- 自社独自のシステムと連携したい
■導入した企業のコメント・評価
「複数の拠点の稼働状況がすぐに把握できて便利」「SFA連携が充実していて助かる」
「受電集計レポートの保存期間を長くしてほしい」
■製品サイト
https://biztel.jp/
■製品の動画
Miitel
AIでお客さまとの会話を分析し、採点することが得意なコンタクトセンターシステムです。
■特徴
- 全通話の録音・文字起こしに対応
- インターネットとパソコンが有れば利用できる
- コールセンターだけでなく営業用途にも活用可能
■機能
- キーワード自動認識機能
- IP電話
- 通話のスコアリング
■導入事例
野村不動産ソリューションズ株式会社や株式会社エヌ・ティ・ティマーケティングアクトをはじめ国内1150社への導入実績
▶参考情報
https://miitel.revcomm.co.jp/case
■こんな企業におすすめ
- 営業用途にも使えるシステムを導入したい
- 電話内容の記録や引き継ぎを正確にしたい
- 言った/言わない問題を解決したい
■導入した企業のコメント・評価
「クラウドなので管理の煩わしさから開放された」「文字起こしの履歴を振り返ると気づきを得られる」
「サポートが充実すると良い」
■製品サイト
■製品の動画
Salesforce Service Cloud
顧客体験を重視しており、AIチャットボットでセルフ解決できたり、SNSからの問い合わせが可能だったりとユーザーフレンドリーな応対ができるコールセンターシステムです。
■特徴
- セルフ解決を促しセンターの生産性を向上させる
- 年3回のバージョンアップ
- 優先順位に基づいたタスク振り分けが可能
■機能
- Knowledge Centered Service (KCS) v6.0 に準拠したナレッジ運用
- 簡単な設定で公開FAQの設置が可能
- AppExchangeを利用した高い拡張性
■導入事例
チューリッヒ生命や三井住友カードを始めとした導入実績
▶参考情報
https://www.salesforce.com/jp/products/service-cloud/customer-stories/
■こんな企業におすすめ
- パーソナライズされたサービスを提供したい
- AIでアップセルを達成したい
- コールセンターの管理をレベルアップさせたい
■導入した企業のコメント・評価
「ダッシュボードが管理しやすく見やすい」「MAとの連携が簡単でマーケティング活用がしやすかった」
「システム構築に一定の知識が必要なため、導入と運用にはある程度の時間が必要です」
■製品サイト
https://www.salesforce.com/jp/products/service-cloud/overview/
■製品の動画
最後に
失敗しないコールセンターシステムの比較方法は、ネームドライセンスに気をつけること、製品価格だけでなく初期費用も含めた価格を比較することです。ほかにも機能面やサポートの面で比較ポイントがあるので覚えておいてください。
コールセンターシステムは各社で料金体系が違ったり、機能が豊富すぎて比較が難しかったりします。製品を選ぶために何から手を付けたらよいかわからないときは、自社がしたいことがベーシックプランで可能かどうか検討しましょう。ベンダーやSIerへ問合せることもおすすめです。
海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、15年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューへお気軽にご相談ください。
優れたコールセンターシステムを導入し、お客さまにも働くオペレーターにも満足してもらえるセンター運用を行ってきましょう。