リモートワークはカスタマーサポートの分野で浸透してきています。2020年以降のパンデミックでリモートワークの導入を各社は急ピッチで進めてきました。リモートワークによる一定のメリットを各社が実感した今、コロナ渦のあとも継続していくことでしょう。

現にリモートワークを定着させる動きは世界のスタンダートになっています。

2020年4月のガートナー社による調査では、アメリカの74%の企業がリモートワークへの恒久的な移行を計画していると明らかになりました。リモートワークの定着はより一層日本でも進んでいくでしょう。

今回は「カスタマーサポートの分野においてリモートワーク導入がいまいち進まない」「リモートワーク導入はしたものの業務効率が悪い」といった課題を取り上げます。課題解決に、AI問い合わせ管理システムが役立つ7つの理由をご覧ください。

海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、16年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。

リモートワークにAI問い合わせ管理システムを活用すべき7つの理由

米IBM社の2020年の調査によると、各企業は問い合わせ管理システムをはじめとする「AIツール」の導入効果の高さを実感しています。

リモートワークにAIツールが浸透していることを表す統計

▶AIを導入した企業のグローバルエグゼクティブ63%が「AIが収益向上に貢献した」と実感
▶44%が「コスト削減になった」と実感
▶IT業界に影響力があり決定権を持つグローバルシニア34%がすでにAIを導入済みとコメント
▶39%がAIによる市場調査を強化している

上の表を見ると世界規模の大企業がAIツールの導入をすでに終えていること、そして効果を実感するフェーズに入っていることがわかります。AIを活用する流れは今後日本でもスタンダードになっていくと予測できます。

カスタマーサポートのリモートワークをスタートさせるときには、どのようなAIツールを活用できるでしょうか。

AI機能が搭載されている問い合わせ管理システムが各企業から注目されています。

実際にAI問い合わせ管理システムは、すでに多くのリモートワーク実施企業で運用されているのです。

ではAI問い合わせ管理システムの何が評価されているのでしょうか。次に紹介する7つのポイントです。

  1. リアルタイムのサポート
  2. バックオフィス業務の効率化
  3. 営業効率の向上
  4. チームワークの強化
  5. 書類とID確認の自動化
  6. リマインドでうっかり防止
  7. 社内ナレッジの共有

ここからは上記のポイントを考えながら、リモートワークにAI問い合わせ管理システムを導入すべき7つの理由を考えていきましょう。

1.リアルタイムのサポートが受けられる

カスタマーサポートへの問い合わせ量は増加する一方です。大きくなる担当者の負担を、AI問い合わせ管理システムはリアルタイムに行うサポートで和らげてくれます。

具体的に何をしてくれるのでしょうか。まず問い合わせ管理システムに搭載されているAIは、企業が設定しているサービスレベルアグリーメント(SLA)の中でお客さまがどの地点にいるか把握してくれます。SLAは各担当者が離れて作業するリモートワークでは把握しにくい点です。

サービスレベルアグリーメント(SLA)とは-カスタマーサポートチームがお客さまとの間で取り決めた解決までに必要な時間のこと。通常は24時間から72時間。管理者が問い合わせ対応のパフォーマンスを測定するために用いられる。

もしお客さまへの対応に時間がかかっているようであれば、AIは自らパーソナライズされたメッセージを流してくれます。たとえば「現在お客様の問い合わせに対応しています。解決にはもう少し時間がかかります」といったメッセージを状況を自分で判断しながらリアルタイムで流してくれるのです。

AIによるリアルタイムのサポートがあるため、担当者は「どの問題が最優先か」「どの問題に一番時間がかかるか」を十分に時間をかけて判断できます。カスタマーサービスチームの全員がリモートワークをしていても適切な判断をすることが可能です。結果的に、問い合わせの平均処理時間(AHT)が短くなります。

2.バックオフィス業務の効率化を実現

カスタマーサポートにはバックオフィスの煩雑な業務が含まれます。リモートワークをしていても、会社にある記録を維持するための作業や管理業務をしなければなりません。

問い合わせ管理システムのAIは、リモートワーカーを煩雑なバックオフィス業務から開放します。各社員がより生産的で価値を生み出す業務に集中できるようにしてくれるのです。

たとえばAIは大量のデータを分析することが得意です。カスタマーサポートチームが今まで扱ってきたデータを自ら分類し、バックオフィス業務の最適化を支援してくれます。単純作業や繰り返しの多いタスクを自ら見極めて自動化してくれるのです。

3.営業効率の向上

リモートワークでの営業活動はより難しくなっています。なぜならお客さまはさまざまな購入経路を活用するからです。実店舗だけではなく、WEBサイト、メッセージングアプリ、SNSを活用します。従来の営業活動や販売モデルでは対応できません。

AI機能が搭載されている問い合わせ管理システムでは、AIを活用した営業支援が可能です。たとえばAIがセールスリードとの接触をチャットなどでスタートさせ、潜在的なリードを特定します。その後メールなどでフォローアップしながらリードへのケアを継続する作業を行ってくれるのです。時間のかかる全工程を自動化できます。

AIによるカスタマージャーニーのマッピングも簡単です。カスタマーエクスペリエンス全体の測定も可能になります。問い合わせ管理システムにAI機能があれば、お客さまのライフサイクルを分析しやすくなるのです。

MIT Technology Reviewによると「世界の約90%の企業が、AIによる分析を活用してカスタマージャーニーを改善している」とのことです。

4.チームワークの強化

リモートワークにはさまざまな課題があります。たとえば「他の社員とのコミュニケーションが取りづらい」という点があります。さらに「24時間体制で上司からのメール、チャット、メンションに対応しなければならない」と感じたり、「時間外勤務もしなければならない」とプレッシャーを感じたりする点も課題として取り上げられます。

ブルームバーグによると、コロナ渦でのリモートワーカーは、パンデミック発生前よりも1日あたり2時間~3時間も多く社内システムへログオンしていたそうです。

結果としてリモートワーカーは疲弊し、チームワークも弱くなっていきます。

AI問い合わせ管理システムは、リモートワークにおけるチームワークの強化に貢献します。

たとえばミーティングを限られた時間でより生産的なものになるようサポートしてくれます。AIがミーティング中に使われたキーワードを分析し、役立つウェブサイト、動画、社内の書類などを提案します。参加した社員たちは調査のために時間を費やすことなく、コミュニケーションに十分な時間を使えるようになります。

リモートワークをしていると、急用のために予定していたミーティングに出られないことがあります。そんなときは、後で誰かにミーティングの内容を聞きづらいものです。しかしAIが会議の内容をまとめておいてくれるので心配いりません。

AIがあれば不必要にお互いの時間を奪うことなく効率的に業務を進め、チームワークを強化していけます。

5.書類とID確認の自動化

銀行、金融、保険業界で社員の負担になっているのがお客さまの書類の検証と本人確認です。お客さまのオンボーディングとIDに関係する作業はリモートワーカーの負担にもなります。

たとえば銀行では、お客さまのオンボーディング作業と本人確認作業を行員自らが行なっています。お客さまの給与明細や郵便物の宛先を確認しながら実施しているのです。時間とコストがかかる非効率的な業務です。

AIを搭載した書類管理ツールを問い合わせ管理システムと併用すると、書類とID確認を自動化できます。スキャンした身分証の種類を特定し、書面の検証や顔の照合を自動でしてくれるのです。

6.リマインドでうっかり防止

リモートワークをしているとチャットやメールでのやりとりが多くなるため、うっかり書類提出の期限を忘れたり、会議の予定を見落としたりしがちです。直接声をかけてリマインドすることができないため、資料の提出漏れ、上司のチェック漏れなどが発生して業務の生産性が落ちてしまいます。

社内チャットとAIを連携することによって、タスクをうっかり忘れてしまうことを防げるでしょう。予定に入っている会議やメンションされていたタスクをAIがリマインドしてくれます。

7.社内ナレッジの共有

リモートワークをしていると社内の誰かに確認したい問題が発生します。一度問題が発生すると、解決するまでは業務が止まってしまうことがあります。しかも答えを持っている社員が休みを取っていたり、会社をやめてしまっていたりすると解決までにかなりの時間がかかってしまうでしょう。

仮に社内での問い合わせのため毎日10分を費やすとしたら、1ヶ月で200分、年間で40時間も浪費していることになります。

社内での問い合わせを効率良く行うためにAIを活用しましょう。AI問い合わせ管理システムであれば、社内ナレッジを共有できます。わざわざ誰かに問い合わせなくても問題を自分で解決できるようになるのです。

最新のAI問い合わせ管理システムでは以下のサポートをしてくれます。

AI問い合わせ管理システムがしてくれるオペレーターへのサポート

ベテラン担当者を表示-類似したケースを処理したことがある担当者、または対象分野に通じているベテラン担当者を表示。すぐに不明点を誰に聞いたらよいかがわかります。

スマートレスポンス-AIが問い合わせ内容を分析し、適切な返信例をリストアップ&提案。

ナレッジの提案-ナレッジデータベースの情報や記事のリンクを共有。お客さまへのメッセージにドキュメントを埋め込んだり、添付したりすることが可能。

類似ケースを表示-現在取り組んでいるケースに類似したケースを表示。  

最後に

リモートワークにAI問い合わせ管理システムが必要な理由とは、業務の効率化とチームワークの強化が実現できることです。

▶これからリモートワークを導入するカスタマーサポートチームは、AIが搭載されている問い合わせ管理システムを活用してください。
▶すでにリモートワークを実施している企業は、AIを活用することでより生産的に業務を行えるでしょう。

カスタマーサポートの現場でAI問い合わせ管理システムを使っていくなら、感染症や災害に直面してもお客さまのサポート業務を継続できるワークフローを完成させられます。