ヘルプデスクツールのSaaS化は急速に進んでいます。リモートワークやハイブリッドワークが定着するにつれ、SaaS型ビデオ会議ツールやチャットツールが導入されてきました。SaaS型ツールの導入が一般化することで、ヘルプデスクツールもSaaS型を導入する企業が増えています。
SaaS型ヘルプデスクツールといってもたくさんあるので、「どれを選んだら良いのかわからない」と感じることがあるかもしれません。今回は、おすすめ企業別にSaaS型ヘルプデスクツールを比較していきます。
比較する5つの製品は国内外で高く評価されているツールです。自社の仕様に沿った製品を選ぶための参考にしてください。今導入しているツールに代わるものを探している方にも役立つ情報となっています。
海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、16年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。
最新のSaaS型ヘルプデスクツールとは
まず最新ツールの特徴について知っておきましょう。最新のSaaS型ヘルプデスクツールとは、お客さまと社内からの問い合わせに効率的に対応していくことに特化されています。単に早い対応を実現するだけでなく、お客さまと社員のためにナレッジを記憶し、AIが最適なタイミングでナレッジを提供してくれることが特徴です。
最新のSaaS型ヘルプデスクツールの特徴をまとめてみました。
- オムニチャネル
- 自動化・RPA
- AIによるサポート
- 分析しやすい
- 簡単なシステム連携
- 高いセキュリティ
それぞれのポイントについて解説します。
オムニチャネル
ヘルプデスクに寄せられる問い合わせは、電話やメールを通してだけではありません。チャット、アプリ、SNS、ビデオ通話というコンタクトチャネルも使われます。最新のヘルプデスクツールは、さまざまなコンタクトチャネルに対応しています。チャネルが増えても一元管理ができるため、「誰が」「いつ」「どのチャネルで」「どのように」対応したかが一目瞭然でわかります。
自動化・RPA
ヘルプデスクには似たような問い合わせが毎日寄せられます。最新のSaaS型ヘルプデスクツールは、似たカテゴリの問い合わせに自動で対応できます。自動化のワークフローを複雑なプログラムを書かずに、ノーコードやローコードで作成できるツールが人気です。
AIによるサポート
最新のSaaS型ヘルプデスクツールで欠かせない特徴がAIです。これまで手作業で行っていた作業をAIが代わりに行ってくれます。たとえば以下のような作業をAIに任せられます。
- 問い合わせの分類
- チケットの担当者への割り振り
- メール本文からのデータ抽出
- 返信に必要な情報の検索
AIがヘルプデスクの業務をサポートしてくれるので、対応の時間と労力を節約できます。
分析しやすい
最新ヘルプデスクツールは問い合わせ対応だけでなく、問い合わせの質を向上させるのに必要な分析作業をサポートしてくれます。AIがお客さまの満足度や好み、ヘルプデスク側の問題点などをダッシュボードで教えてくれるのです。レポートをリアルタイムで見られるのがSaaS型ヘルプデスクツールの特徴です。
簡単なシステム連携
どんなに便利なツールであっても、既存のシステムと連携ができないと意味がありません。連携できないヘルプデスクツールは業務を効率化するどころか複雑化します。しかしSaaS型ヘルプデスクツールは、APIで既存システム(CTI、CRM、ERPなど)と簡単に連携できます。他システムの情報を表示させたり、逆にデータを転送したりすることも可能です。
高いセキュリティ
SaaS型ヘルプデスクツールは、最新のセキュリティへ自動でバージョンアップしてくれます。ドキュメントの暗号化、二要素認証など最新サインインの採用、データセンター管理が徹底されています。
SaaS型ヘルプデスクツールを導入するメリット
既存のヘルプデスクツールに代えて、SaaS型ヘルプデスクツールを導入するメリットは5つあります。
- サーバーの準備が不要
- 部署・企業間で情報共有が可能に
- 自動で最新バージョンへ更新
- 問い合わせ業務のスピードアップ
- データ分析で運用のムダを発見
各メリットについて見ていきましょう。
サーバーの準備が不要
SaaS型ヘルプデスクツールはクラウド上にあるツールのため、サーバーを用意する必要がありません。サーバーの導入・運用コストを減らせます。
部署・企業間で情報共有が可能に
クラウド上で運用されるため、各部署、関連企業との情報共有が簡単です。ツールに集約される問い合わせ内容や対応状況は一元管理されます。開発部門や営業部門など、他部署へ毎回フィードバックをしなくても自動で情報共有してくれるのです。
自動で最新バージョンへ更新
SaaS型ヘルプデスクツールはアップデート作業をする必要がありません。自動で最新バージョンへアップデートされます。運用の手間を減らせるのは大きなメリットです。
問い合わせ業務のスピードアップ
最新ツールを導入すると、作業を自動化できます。たとえば、サービス名ごとに最適な担当者へルーティングする作業を自動化できます。告知メールの自動送信や、返信の自動化も行えます。ヘルプデスク担当者を単純なルーティーン業務から開放します。
データ分析で運用のムダを発見
ヘルプデスクツールでは、問い合わせ対応の「時間」や各担当者の「対応数」を分析できます。結果として、ワークフローや人材配置の最適化が可能です。推測ではなく、数値に基づいた改善をしていけま
SaaS型ヘルプデスクツール5選をタイプ別に比較
ここからは国内外で評価されているSaaS型ヘルプデスクツールを5つ見ていきます。各製品のおすすめ企業はどのようなタイプか、製品の特徴は何か、実際に使用した企業の口コミはどのようなものか比較していきます。
ThinkOwl(シンクオウル)

ThinkOwl(シンクオウル)は、使いやすい自動化(RPA)とAI機能がついているヘルプデスクツールです。
■こんな企業におすすめ
- カスタマイズがしやすいヘルプデスクツールを使いたい企業
- 今使っているヘルプデスクツールに不満を持っている総務・経理
- 親身にサポートしてくれる製品を選びたいヘルプデスク
- 社内、社外から大量の問い合わせが来るエンタープライズ
■特徴
- さまざまなコンタクトチャネル(電話、メール、チャット、カスタマーポータル、アプリ)からの問い合わせを一元管理
- AIが担当者に問い合わせの優先度、参照資料を教えてくれる
- 世界の大手企業に鍛えられた国際基準に通用する高いセキュリティ
■機能
- リアルタイムでカスタマイズ性が高いレポート機能
- 担当者のスキル不足をAIが補い、回答レベルのムラや返信の遅れを解決
- 階層で管理できるナレッジベース
■導入事例
米国物流大手オデッセイ社、北米物流大手XPO Logistics社などへの採用実績
▶参考情報:https://to.cba-japan.com/
■導入した企業のコメント・評価
「データ分析機能がすばらしい」「自動化のワークフローが簡単につくれる」「UIが分かりやすい」
「最初のセットアップに時間が必要」「モバイルでも使えるようになって欲しい」
▶もっとコメントを読む:https://www.g2.com/products/thinkowl/reviews#survey-response-5043099
■製品サイト
■製品の動画
Zendesk

Zendeskは世界10万社以上が活用するヘルプデスクツールです。
■こんな企業におすすめ
- Shopifyと連携させたい小売業
- 海外の企業&顧客と取引があるグローバル企業
- スマートフォンやタブレットを使ったサポート業務を実現したいヘルプデスク
■特徴
- メールや電話などの問い合わせを1つの画面で管理できる
- 自動優先順位付けや自動返答など、自動化機能が充実
- Shopifyとの連携可能
■機能
- テンプレート・管理画面・アプリの簡単カスタマイズ
- 社内連携を強化するメモ・ナレッジ機能
- モバイルを使ったサポート対応
■導入事例
東京電力エナジーパートナー株式会社、神戸市などへの採用実績
▶参考情報:https://www.zendesk.co.jp/why-zendesk/customers/
■導入した企業のコメント・評価
「FAQコンテンツが作りやすい」「マルチチャネルに対応しており、すべての問い合わせを一元管理できる」「過去の質問履歴が検索しやすい」
「サポートが弱い」「レポート機能がもっと充実してほしい」「ナレッジ機能がシンプルすぎる」
▶もっとコメントを読む:https://www.itreview.jp/products/zendesk/profile#review-119106
■製品サイト
https://www.zendesk.co.jp/help-desk-software/
■製品の動画

Re:lation

Re:lationは「あのメール返信した?」を無くしてくれる問い合わせ一元管理ツールです。
■こんな企業におすすめ
- LINE対応に力を入れたい企業
- Yahooショッピングなど、ECサイトの問い合わせ対応を改善したい小売業
- 使いやすいUIのヘルプデスクツールを導入したいヘルプデスク
■特徴
- メール・LINE・電話などの10チャネルを一元管理
- 「未対応」「対応中」「対応完了」がひと目で分かる
- 業務改善に役立つ対応時間や担当者の案件数が見える化される
■機能
- AIがテンプレートを教えてくれる
- キャリアメールで返信可能
- Twitter連携・ソーシャルリスニング機能
■導入事例
株式会社ハーバーハウス、チャットプラス株式会社など3500社以上の採用実績
▶参考情報:https://ingage.jp/relation/result
■導入した企業のコメント・評価
「直感で操作できる」「チャットサポートが充実している」「メール・チャット・LINEが同じ画面で管理できるので返信漏れがない」
「お試しが20日しかないのは短い」「ストレージ容量がすぐ一杯になる」「もっと細かく分析できる機能が欲しい」
▶もっとコメントを読む:https://www.itreview.jp/products/re-lation/reviews#scroll
■製品サイト
■製品の動画
メールディーラー

メールディーラーは、メールの問い合わせ対応が得意なヘルプデスクツールです。
■こんな企業におすすめ
- 問い合わせチャネルはメールが大部分というヘルプデスク
- 導入・運用をずっと無料でサポートしてほしい企業
- ログインの手間やパスワード忘れのリスクを減らせるシングルサインオンが必要な企業
■特徴
- 対応状況がリアルタイムで把握できる
- 「対応中」「保留中」といったステータスの自動振分けが可能
- 専任のスタッフが導入・運用をサポート
■機能
- 「未対応」「対応中」「対応完了」とステータス別に自動整理
- 返信中のメールはロック機能によって二重送信を防ぐ
- API連携が可能
■導入事例
株式会社日本アクセス、株式会社リンクなど7000社以上への採用実績
▶参考情報:https://www.maildealer.jp/case/
■導入した企業のコメント・評価
「サポート体制がしっかりしている」「チームの対応状況がリアルタイムで分かる」「30分ほどで使い方をある程度覚えられる」
「もっとカスタマイズできればよいのに」「レポート機能がもっと充実してほしい」「お客さまのメールが迷惑メールでないことをツール側で学習してほしい」
▶もっとコメントを読む https://www.itreview.jp/products/maildealer/reviews
■製品サイト
■製品の動画
メールワイズ

メールワイズはチームでのメール対応を強化するのに役立つヘルプデスクツールです。
■こんな企業におすすめ
- 低予算でSaaS型ヘルプデスクツールを導入したい企業
- メールに特化したツールだけが必要な企業
- kintoneを利用している企業
■特徴
- 1ユーザー月額500円で、2ユーザーからスタート可能
- 無料メーラーよりメール業務を簡略化する機能が充実
- kintoneと簡単連携
■機能
- 各メールの「担当者」「確認者」「処理状況」をステータス管理
- メールワイズモバイルアプリでスマートフォンでも利用可能
- プラグインを使ってkintoneと簡単に連携
■導入事例
株式会社星野リゾート、ブックオフオンライン株式会社など12000社以上への採用実績
▶参考情報:https://mailwise.cybozu.co.jp/case/
■導入した企業のコメント・評価
「導入・運用コストが安い」「メール共有以外に社内コミュニケーション用としても使える」「設定が簡単で助かる」
「過去のメール検索するのが難しい」「UIが古め」「コメント機能をもっとカスタマイズできれば助かる」
▶もっとコメントを読む https://www.itreview.jp/products/mailwise/reviews#scroll
■製品サイト
https://mailwise.cybozu.co.jp/
■製品の動画
失敗しないSaaS型ヘルプデスクツールの選び方
最新ヘルプデスクツールを選ぶときには、「初めてSaaS型ヘルプデスクツールを導入するので失敗したくない」「いまのツールに満足できないから今度はベストな製品を選びたい」と思うものです。SaaS型ヘルプデスクツール選びで成功するために、次の5つの点を覚えておいてください。
- 他システムとの連携
- 必要な機能の選定
- 機能の拡張性
- 予算
- 無料お試し期間
5つの覚えておくべきポイントを説明します。
他システムとの連携
他システムとの連携が可能なツールを選んでください。既存システムとの連携だけでなく、将来の運用も見据えて、拡張性が高いツールを選ぶようにしましょう。
CTIと連携させて電話対応、CRMと連携させて顧客情報を表示、ERPと連携させて企業内の基幹情報を取得できるようなツールが使い勝手が良いです。
必要な機能の選定
SaaS型ヘルプデスクツールは多機能です。使用できる機能の数ごとに毎月の利用料が変わります。そのため自社が必要な機能を絞り込み、優先順位を決めておきましょう。必要な機能を選定しておけば、使いこなせないほどの機能がある製品やプランを選んだりしないですみます。
機能の拡張性
SaaS型ヘルプデスクツールの導入当初は、必要十分な機能があったものの、ビジネス環境が変化することでさらに必要な機能が増えることがあります。とくにノンボイスチャネルやチャットコマースはこれから導入が各社で進む分野です。
有人チャットやチャットボットなどのチャット機能や、ビデオ通話や画面共有機能に対応しているツールは拡張性が高いのでおすすめです。
予算
SaaS型ヘルプデスクツールは基本有料です。月額料金が安い製品がありますが、価格の安さだけで選ばないようにしましょう。導入費用・オプション費用なども含めてコストを計算してください。利用プランごとに使用できる機能も比較しましょう。
無料お試し期間
SaaS型ヘルプデスクツールは高機能なので、製品の機能をよく知るために無料お試し期間を有効活用してください。「自社に必要な機能はどれか」「操作性は優れているか」「カスタマイズはしやすいか」などをチェックしましょう。無料お試し期間は最低でも30日は必要です。
最後に
「SaaS型ヘルプデスクツールを新たに導入するとき」「既存のツールから切り替えるとき」に、自社のニーズに合う製品を選んでください。今回のおすすめ企業別の情報を参考にすると、普段の業務の効率化に貢献するツールを選べるでしょう。
「使いこなせるかわからない」「運用に自信がない」と感じるときは、サポートが充実している製品を選ぶようにしてください。最初の問い合わせに親身に対応してくれるベンダーを選ぶと失敗しません。
最新のSaaS型ヘルプデスクツールを活用することによって、部署や企業間の情報共有が促進され、業務が効率化されます。問い合わせ対応も改善されるため顧客満足度が向上していきます。