製造業において最重要なことは、良質の製品を納期までに生産することです。そこには顧客が求めている製品を生産すること、生産した製品を代理店を通して流通させることが関係しています。

製造業の最重要タスクを果たすには、顧客とのコミュニケーション、販売代理店とのコミュニケーションが欠かせないのです。現在はコミュニケーションツールが電話やメールだけではなく、SNSやチャットなど多岐にわたります。顧客や代理店からカスタマーサポート部門に届く大量の問い合わせを、どのように効率的に対応できるでしょうか。

今回は、製造業のカスタマーサポート部門の作業効率化のために、問い合わせ管理システムがなぜ必要か解説します。最初に製造業のカスタマーサポート部門でよくある課題を見ていきましょう。

海外の最新コールセンターシステムやデジタル・コミュニケーションツールを、16年間にわたり日本市場へローカライズしてきた株式会社コミュニケーション・ビジネス・アヴェニューが解説します。

製造業のカスタマーサポート部門でよくある課題

製造業のカスタマーサポート部門が抱える課題は7つあります。

  • 問題の解決に時間がかかる
  • メーカーと販売代理店のコミュニケーション不足
  • 担当者同士の連携が取れていない
  • イレギュラーな対応ができない
  • 二重手配
  • 対応漏れ
  • 情報の一元管理ができていない

上記の課題はどれも問い合わせ管理が効率化できていないことが原因です。

顧客の問い合わせをOutlookなどの無料メーラーで受け付けたり、エクセルで管理したりすると、問い合わせの数が増えるにつれて管理が非効率になっていきます。問い合わせを管理するシステムが、顧客と販売代理店で別々になっている場合も問題が発生しやすくなります。

製造業のカスタマーサポート部門が抱える課題は、顧客や販売代理店からの問い合わせが一つのシステムで管理され、担当者同士で情報を共有できていれば解消できます。

しかし「とりあえず問い合わせ管理システムを導入すればよい」わけではありません。自社の現場で本当に役立つシステムを導入すべきです。次に取り上げるメリットを現場にもたらす問い合わせ管理システムであれば作業を効率化させられます。

製造業に問い合わせ管理システムを導入するメリット

問い合わせ管理システムが製造業のカスタマーサポート部門にもたらすメリットは6つあります。

  • ナレッジの蓄積
  • 海外顧客の対応
  • 複数チャネルを一元管理
  • AIと自動化で生産性が向上
  • 個人情報の万全な管理
  • レポートをマーケティングへ活かす

それぞれのメリットについて説明します。

ナレッジの蓄積

カスタマーサポート部門が、取引先や消費者の問い合わせをデータ化しておくことは大切です。販売代理店経由で来る顧客情報も整理しておく必要があります。

問い合わせ内容のデータ管理ができていると、ナレッジの蓄積ができます。似たような問い合わせが来たときに、ナレッジを参考にしてスピーティに対応していけるのです。

ナレッジが共有されることで、ベテラン担当者に頼らずに難しい問い合わせにも対応していけます。

参考情報:弊社の「ThinkOwl(シンクオウル)」ではナレッジの蓄積をAIに担当させられます。

海外顧客の対応

昨今の製造業は国内市場だけで戦っているわけではありません。世界の企業と取引したり製品を流通させたりしています。そのため各国にいる取引企業、顧客、販売代理店、カスタマーサポート担当者とコミュニケーションを取る必要があります。

最新の問い合わせ管理システムであれば、国内や海外の顧客からの問い合わせ、販売代理店からの問い合わせを一元管理できます。国内外にいるカスタマーサポート担当者と情報を共有することや、連携作業が簡単になります。

GDPRなどEU域内の個人情報保護を規定する法律を遵守している問い合わせ管理システムであれば、一つのシステムで国内と海外の問い合せ管理を一元化できます。

複数チャネルを一元管理

従来の問い合わせ管理システムは、メールの問い合わせ対応に特化しています。しかし現在はメール以外にもチャット、ビデオチャット、アプリなどからの問い合わせが増えています問い合わせの多チャネル化が進んでいるのです。

最新の問い合わせ管理システムであれば、顧客や販売代理店からどんなチャネルで問い合わせされても対応できます。

多チャネル対応(オムニチャネル対応)しているカスタマーサポート部門であれば、顧客や取引先の担当者は思い立ったらすぐに連絡ができるでしょう。顧客や取引先との連絡を密に行なえます。

AIと自動化で生産性が向上

問い合わせメールの仕分けを手作業でしているとミスが起きます。対応漏れや二重対応が発生してしまいます。AI自動化機能を搭載している問い合わせ管理システムでは、ミスを減らせます。

AIが問い合わせ内容の分類と適切な担当者への割り振りをしてくれたり、返信案を提案してくれたりします。自動化機能で、あらかじめ設定したワークフローを実行することや、イベントに合わせた自動処理を実行できます。

個人情報の万全な管理

カスタマーサポート部門は顧客の個人情報や取引先の機密情報を扱うことがあります。最新のセキュリティ規制やデータプライバシーポリシーを遵守していなければなりません。

カスタマーサポート部門だけで定期的に更新されているセキュリティポリシーをチェックし、更新していくのは大変な作業です。しかしクラウド型の最新の問い合わせ管理システムであれば自動更新です。

GDPRや二要素認証に対応している問い合わせ管理システムだと安心です。

レポートをマーケティングへ活かす

最新の問い合わせ管理システムはレポート機能が充実しています。日々扱う問い合わせ内容を分析し、レポートしてくれる機能はマーケティングへ活かせます。地域や業界ごとのニーズを把握できるので、事業や業務を超えたデータ活用をしていけるのです。今まで以上に幅広いマーケティング活動ができます。

レポート機能が使いやすい問い合わせ管理システムの特徴とは?
・図、グラフ、ヒートマップでデータを見える化してくれる
・ウィジェットを細かくカスタマイズして簡単に自社仕様にできる
・KPIの自動分析

製造業に問い合わせ管理システムを導入するデメリット

問い合わせ管理システムを導入することや、システムの入れ替えをすることには3つのデメリットがあります。

導入/運用コストがかかる

上記で取り上げたメリットを享受できる問い合わせ管理システムは有料です。導入には初期費用や維持費用が必要になります。コストをできるだけ下げて導入したいときには、自社の課題を洗い出し、課題解決に必要な機能だけ搭載したシステムを選ぶようにしてください。

注意すべきなのは導入コストだけに着目し、システムによってもたらされるメリットや収益への貢献を無視してしまうことです。

問い合わせ管理システムの導入は、カスタマーサポート担当者の負担軽減や業務効率化に直結し、カスタマーサクセスへとつながっていきます。LTVの向上、アップセルやクロスセルの実現といった成功事例を忘れないようにしましょう。

使いこなせないと効率が落ちる

問い合わせ管理システムは導入すれば自動的に作業が効率化するわけではありません。適切な運用ができるまでに設定やワークフローの調整が必要となります。

手間を惜しむとかえって業務効率が落ちるので気をつけてください。使いこなすためには、導入と運用を監督する担当者の任命と、ベンダーによるトレーニングの活用が必須です。

使いこなすためには、無料トライアルが30日間試せる製品がおすすめです。トライアル期間が30日より少ないと、搭載されている便利機能を試すには短すぎるので注意しましょう。

セキュリティが不安と反対される

「クラウドを使用したシステムはセキュリティが不安」と上層部から反対されるかもしれません。しかし前項で説明したように、クラウドのほうが最新のセキュリティポリシーを自動で更新してくれるので安心です。

さらにデータセンターが冷却システムやビデオ監視などの多層セキュリティ対策が施されているか、国内だけでなく海外のセキュリティ基準を遵守しているかなどもチェックしましょう。

製造業のカスタマーサポートを向上させるべき理由

時間やコストを掛けてでもカスタマーサポートを向上させるべき理由は、高品質低価格の時代が終わったからです。

これまでのより良い製品を今までより安く製造する理念だけでは、収益を出し続けることが難しくなっています。海外メーカーの台頭に加え、消費者や顧客企業のニーズが多様化していることが原因です。

現代の製造業は、各消費者や各顧客企業のニーズを把握し、ニーズに合った製品を生産・販売する必要があります。そのためにはカスタマーサポート部門における問い合わせ管理をレベルアップさせなければなりません。データの蓄積、分析、そしてデータのマーケティング活用が必須です。

問い合わせ管理のレベルアップは、顧客対応のレベルアップにも繋がります。データを活かして、顧客へパーソナライズされたサービスを提供できるからです。質の高いカスタマーサポートは他社との差別化に貢献します。

最後に

製造業のカスタマーサポート部門に問い合わせ管理システムは必要です。なぜならカスタマーサポート部門が抱える課題のほとんどは、最新の問い合わせ管理システムで解決できるからです。問い合わせ管理システムを導入することには多くのメリットがあります。

「最新の問い合わせ管理システムを導入しても使いこなせない」かもしれないと心配なときには、導入を担当する専任者を任命し、ベンダーによるトレーニングをしっかり受けるようにしてください。

問い合わせ管理システムを導入してカスタマーサポートをレベルアップさせるなら、収益率を高め、他社と差別化していけます。