Amazon Connect (アマゾンコネクト)は、アマゾンのウェブサービス(AWS)のメニューのひとつとして追加された、「コールセンターをクラウドに格安・短期間で設置できる」サービスです。2018年12月に東京リージョンにも対応したため、日本でもコールセンター・コンタクトセンターとしての設置と実稼働が現実味を帯び、今後普及していくでしょう。今回は、コールセンターエンジニア・チームから見たAmazon Connectについてレポートしたいと思います。

AWSジャパンスタッフによる記事は下記をどうぞ。

Amazon Web Services ブログ
Amazon Connect が東京リージョンに対応しました。Webinarも緊急開催!https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/amazon-connect-tokyo-region/

Amazon Connect が東京リージョンに対応しました。Amazon Connect は、セルフサービスのクラウド型コンタクトセンターであり、大型のインフラ投資なしでコールセンターを立ち上げることができるサービスです。セルフサービス式のグラフィカルインターフェイスを用いることで、対応フローの設計、スタッフの管理、業績指標の追跡が簡単にできます。Amazon Connectはオーストラリアリージョンで、日本向けのサービスが今まで提供されており、050,0800の番号が利用可能でしたが、新たに0120が利用できるようになっています」

ちなみに弊社CBA(コミュニケーションビジネスアヴェニュー)とはこんな会社です。

・2005年ごろからIP-PBX(IP回線による電話交換機)の販売と技術講習会を開始。オープンソースAsteriskの情報発信を開始。レガシーPBXからインターネット回線を使用したオフィス・コールセンターの電話システムのコンサルティング、構築、運用までを手がける。

・日本の大手コネクトサービスの立ち上げ、OEM製品の開発・納入などにかかわる。日本にコネクトサービスが普及・広がっていく現場を日々体感する。日本の様々な電話キャリアとのやりとりでノウハウを蓄積。

・大小様々なコールセンターの立ち上げ・リプレースプロジェクトに携わり、不足していた機能については自社開発・(製品をごにょごにょ)して解決するなど、「トラブル現場をなんとかする」チームとして知られるようになる。足りない機能を追加開発するうちに、「ソフトフォン、全通話録音、レポートシステム、ホットデスクシステム、着信カウント・制限・転送システム、CRMデータベース」などを自社製品として作ってしまい、「あと作っていないのはPBXだけ」という状態になってしまう。

・レガシーPBX時代からの叩き上げの電話回線おたくをはじめとして、技術者、開発者、営業チームなどが一体となって楽しくにぎやかに、和気あいあいと難問に立ち向かっているチームを作り上げる。

・最新技術にも常にアンテナを伸ばし、HTML5、WebRTC、ビジネスAIなど、最新技術と海外で売れている製品について日本に紹介する。現在は「オムニチャンネル」をキーワードに電話だけでなく、チャットやSNS、SMSなどにまで統一対応できるソリューションに注力。

それで、Amazon Connectがもたらす変化と技術革新にも注目しています。技術者としては、「どこのSIPスタックを使っているんだろう」とか「電話番号はどこからもらってきているんだろう」とか色々興味津々ですが、まずはコントロールパネルからどんな雰囲気でどこまで使用できるのかを試してみましょう。

 

■AWSマネジメントコンソール画面です。

■ここから、Amazon Connect リンクを選択します。

■Amazon Connect 最初のページ。

■マニュアルは日本語化されています。

■まず管理者カウントを追加設定します。(追加しないでAWSの管理アカウントで入ることも可能)

■テレフォニーオプション。「着信専用」や「発信専用」にすることもできます。

■データストレージの設定画面。

■データストレージ内で、通話記録やエクスポートされたレポート、問い合わせフローログなどの場所を変更することもできます。

■下記の画面で一括確認してからインスタンスを作成します。

■セットアップ中の画面。

■セットアップが終わると下記のような画面が表示されます。「今すぐ始める」ボタンを押しましょう。

■下記のようにインスタンスとURLの確認ができます。「インスタンスを追加する」ボタンがありますので、複数のコネクトサービスを展開できそうです。

■マニュアルの中には、日本独自の電話に関する制限が詳しく記載されています。一読することをおすすめします。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/connect-tokyo-region.html

■東京03番号を使用する場合の注意事項も詳しく書かれています。こういうのはアマゾンらしく丁寧でいいなぁと思います。

■エージェント(オペレータ)さんたちのPCは、2GBのRAM、2GHzぐらいのスペックで大丈夫だそうです。今どきのふつうのPCであれば問題ないはずです。Google ChromeかMozilla Firefox を準備しましょう。

■Salesforceとの統合の仕方については別項目として特別に詳しく記載されています。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/salesforce-integration.html

■コールセンターを開始するときには必ず問題になるネットワークスイッチの設定についても、開放するべきポートの情報が詳しく書いてあります。会社のシステム部の人に伝えて設定してもらう必要がある場合にはこちらの情報が必要になります。このウェブページには、「リージョンの選択に関する考慮事項」や「PSTN とエージェント接続のレイテンシー」、「レイテンシーの測定」、「ソフトフォンを使用した受信通話のテスト」などの項目もあり、必要に応じて参照できます。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/troubleshooting.html#ccp-networking

■外部転送に関しては注意書きがあります。オペレータが電話をAmazon Connect経由で別な電話番号に転送するとエージェントの手を離れても課金は続く、ということになります。分単位課金なんですね。

■統合できるCRMはSalesforceだけでなく、ZendeskやMicrosoft Dynamics CRM、その他のCRM、WFM/WFOなどのワークフローマネージメントツール、Eureka, DialogTech, VoiceBaseなどの音声分析ツールとも統合できるという情報が記載されています。

  • Amazon Connect の使用開始

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/gettingstarted.html

  • Amazon Connectとの統合

https://aws.amazon.com/jp/quickstart/connect/

  • SalesforceとAmazon Connectの統合

https://trailhead.salesforce.com/ja/content/learn/projects/build-an-amazon-connect-integration

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/salesforce-integration.html

https://aws.amazon.com/jp/quickstart/connect/aria/

  • ZohoとAmazon Connectの統合

https://www.zoho.com/crm/help/zoho-phonebridge/amazon-connect.html

  • FreshdeskとAmazon Connectの統合

https://freshdesk.com/product-updates/amazon-connect-freshdesk-integration-blog/

  • SpiceCSMとAmazon Connectの統合

http://www.spicecsm.com/partners/amazon-connect

  • ZendeskとAmazon Connectの統合

https://www.zendesk.com/apps/support/amazon-connect/

  • アウトバウンドダイヤラー Acqueon Engagement Cloud(AEC)の統合

https://aws.amazon.com/jp/quickstart/connect/acqueon-engagement-cloud/

  • Amazonの汎用的コード、ライブラリ

– Amazon Connect Streams – a browser-based contact center integration API, typically with CRM systems. 。ブラウザベースのコンタクトセンターインテグレーション用API

https://github.com/aws/amazon-connect-streams

– Provide softphone support to AmazonConnect customers when they choose to directly integrate with our API and not using our web app. Amazon Connectのブラウザアプリを使わずに、既存のWebアプリとソフトフォンをつなげるためのコード

https://github.com/aws/connect-rtc-js

■準備完了。ここでようやくスタート地点です。

■まず、電話番号ありきで、どの番号を取得するかを選択する画面になります。現在(2018/12)はアメリカ、イギリス、オーストラリア、香港、日本の番号が取得できるようです。また 0120ではじまる Toll Free番号も取得できるようです。0120からはじまる番号の場合にはお客様は無料でコールセンターに電話をかけることができるようになります。

■今回は、テスト用としてかけやすい電話番号を選択肢の中から選びました。また電話番号がどのように各電話キャリアに割り当てられているのかは下記のページで調べることができます。

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/number_shitei.html

こちらで調べてみると、050-318ではじまる番号はKDDI由来ということが分かります。KDDIのクラウド接続については下記のリンクに説明があるようです。

http://www.kddi.com/business/network/intranet/kddi-wvs2/cloud-access/

■Amazon Connectのダッシュボード。

■ダッシュボードには最初から下記のような統計情報の表示が付いています。

■電話番号に関しては説明を自分で追加することができ、さらに「その電話番号に着信したらどの問い合わせフロー(IVR)に着地させるのか」をここで選択できます。ここが電話番号とフローの最初のヒモ付画面のようです。

■「リアルタイムメトリクス」という統計画面の設定画面です。

■過去の問い合わせを検索する画面があります。

■IVR(問い合わせフロー)で使用する録音ファイルをここで準備できるようです。最初から英語のサンプルが色々登録されています。おまたせ保留音楽もあります。

■問い合わせフローの中から、「オペレータさんに電話を配る仕組みを作るキュー」に飛ばすことができますが、そのキューの設定画面です。以前は「スキル」という言い方をよくしましたが、Asterisk/FreeSwitchなどのオープンソース勢が「キュー」という用語を採用していたので今はそちらのほうがメジャーになってきたように思います。Amazon Connectも「キュー」なのでますますこちらの用語が普及しますね。

■オペレーション時間、というのは「コールセンターを開いている時間」という意味です。ここで設定した時間帯を、キューや問い合わせフロー(IVR)の中で選ぶことができるようです。

■オペレーション時間(コールセンター受付時間帯)は下記のように細かく設定できるようです。

■エージェント(オペレータ)が転送する宛先を、さきにここで登録しておきます。

■ダッシュボードにアクセスできるログインユーザをここで登録できます。姓名、ログイン名、Eメールアドレス、パスワード、そしてこのオペレータの”ルーティングプロファイル”などを登録します。

■ルーティングプロファイル、というのは「キューを束ねたもので、オペレータに紐付けるもの」です。仮に「各キューを言語名」と考えると、「ルーティングプロファイルは、あるオペレータさんが何語をしゃべるのか、どの言語がいちばん得意かを示すリスト」のように考えることができます。

■ルーティングプロファイルの編集画面です。ここで優先度を指定すると、キューに着信した場合に、どのエージェントを選んで鳴らすべきなのかうまく判断してくれるようになります。

■エージェントは、「待機」だったり、「トイレ休憩」だったり、「指導中」だったり、「ランチ休憩」だったりしますが、そうした全体用のステータスを作って登録しておくことができます。

■各ユーザグループがどの 機能を使用できるのかを個別指定して、セキュリティを高めることができます。

■「エージェント階層」というのは、エージェントが所属するグループ(レベル)のことです。

■下記の電話の受話器マークを押すと、エージェント用の”電話機”(CCP, コンタクトコントロールパネル)が現れます。

■ステータスは最初から “Available” になっていました。自分のステータスを切り替えることができ、「番号をダイヤル」を押すと外線発信できます。

■デフォルトステータスは「Available(受電可能)」と「Offline(オフライン)」です。ステータスは数を増やせます。

■電話番号を下記のパネルから入れることができます。

■Amazon Connectはログインしたらまずは電話番号に外部から電話してみると、エージェントに電話がかかってくる、という「問い合わせフロー(IVR)」のサンプルシナリオが登録されています。これは具体的には下記の “Simple inbound flow”(シンプルなインバウンドフロー)が使われています。

■”Simple inbound flow”(シンプルなインバウンドフロー)をクリックすると、下記のように問い合わせフローエディタ(IVRの設定画面)が現れます。

■左のメニューから様々な機能をブロックとして選択できます。ちなみに通話録音したい場合には、「通話記録動作の設定」というブロックをいれてやると録音をはじめることができます。「プロンプトの再生」を選ぶと、任意の音声ファイルを再生してお客様に聞かせることができます。

■この中に、AWS Lambda があります。コードを書いて独自の処理を入れることができるようです。こちらについてはさらに調査報告したいと思います。

■「顧客の入力を取得する」というフローでは、お客様の入力したDTMF(ピッポッパ)信号によって処理を分岐させることができます。サンプルでは数字の1から8までだったのですが、自分で書き換えれば 「#」などの記号にも対応させることができます。またDTMFで受け付ける以外にも、「Amazon Lexを使用する」を選択することができます。具体的にはAlexa(アレクサ)と同じようなサービスを構築できるようです。すごいなー。

https://aws.amazon.com/jp/lex/

「Amazon Lex は、音声やテキストを使用して、任意のアプリケーションに対話型インターフェイスを構築するサービスです。Amazon Lex では、音声のテキスト変換には自動音声認識 (ASR)、テキストの意図認識には自然言語理解 (NLU) という高度な深層学習機能が使用できるため、ユーザーにとって使いやすく魅力的なアプリケーションや、リアルな会話を実現するアプリケーションを開発できます。Amazon Lex を使うと、すべての開発者が Amazon Alexa に採用されている深層学習技術と同じ技術を利用できるため、自然言語での高度な対話ボット (チャットボット) を短時間で簡単に構築できます」

■現在のコンタクトセンターの状況を下記の画面から確認できます。初期画面ではこうなっていました。

■自分でキューやエージェント、ルーティングプロファイルなどを追加登録すると行が増えていきます。

■APIマニュアルも準備されています。(現在は英語でした。)上記の統計情報を取得するAPIもあるようですので、独自のレポート分析画面を準備することもできると思います。

■アウトバウンド(外線発信)を始めるAPIと停止するAPIもありました。クリックコールやダイヤラー関連の制御で使用できると思います。

■Salesforceを例に上げると、下記のようにSalesforce側にCTIアダプターを入れてやるとAmazon ConnectとSalesforceを統合できます。

■統合すると、CCP(コンタクトコントロールパネル)とSalesforceが連動するようになります。

■既存の電話番号を紐付けるには?

ボイスワープなどの転送サービスを利用すれば、とりあえず既存の電話番号をそのままコールセンター用に使用することができると思います。

https://www.isdn-info.co.jp/voice/