カスタマーサービスの責任者たちの多くは、コンタクトセンターがオムニチャネル対応に向けて動き出すための理由に気づいています。企業プロセスに最新のチャネルを実装すると、すぐにまた他のチャネルが現れるので、イタチごっこになっています。いつまでも続くように思われるこの変化をもたらしている原因はなんでしょうか?

モバイル機器の目覚ましい成長

Statistaの調査によると、米国でのモバイル普及率は85%を上回るようです。また、2019年にはこれがさらに10%以上増えるといいます。

また、Forrester Researchの報告によると、米国の販売業者の65%が消費者のモバイルエクスペリエンスの影響をうけているようです。

日本ではどうでしょうか?博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査2017」時系列分析によると、モバイルの所有率は77.5%と米国に比べて10%弱低いものの、8割近くの所有率になり、年代別では40代~60代の上昇が顕著 とのことです。

加えて、2017年度版:スマートフォン利用者実態調査によると、 日本のEC利用において、よく利用されるデバイスは、スマートフォンが74.7%、ついでPC(38.6%)と、ほぼ倍の差で「ネットでのお買い物」にはモバイルが圧倒的に利用されています。

この傾向を踏まえると、スマホ用サイトとソーシャルメディアの活用は売り上げ向上に必須と言えます。消費者は思い立ったらすぐに検索、比較、購入でき、購入したものの使い方をすぐに尋ねることができます。デジタルツールによって便利になったこの時代、消費者は欲しい時に欲しい情報をすぐに得られることを期待するのは当然の流れといえます。

通常の生活においても、消費者はモバイルを使用して、いつでもどこでも友人や家族と話したり、仕事をしたり、商品購入をしたり、問題を解決したりします。

その影響で、企業への問い合わせ、また企業側からのレスポンスにも同じようなコミュニケーションを期待する傾向があります。もし、企業側が問い合わせやコミュニケーションの窓口として、モバイルアプリ、とりわけLINEやメッセンジャーといったSNSに対応していないとしたら、、、消費者からは「不便」というレッテルが貼られかねません。

AIの活用?顧客満足度?両立は可能か

McKinseyは、購入体験の70%が「顧客側から見てどうか」という視点で成り立っており、コンタクトセンターの独自調査の結果ではなく、「顧客が自分が企業から大切に扱われているとどれだけ感じるかによる」ものであると指摘しています。

一方で、Gartnerは、2020年には顧客が企業と結ぶ関わり合いの85%において、人と話すことなく行うことができると予測しています。

優秀なカスタマーサービスセンターは、顧客がモバイルやタブレットからWEBサイトやWEBショップを訪れるとき、いつでもどこでも素晴らしいカスタマーエクスペリエンスを作り上げるにはどうすればよいのでしょうか。

優れた結果に達するには優れたツールが必要

顧客満足度の向上とコールセンター の効率化には、多くの情報にアクセスし、それらが正しく整理されて、随時提供される優れたツールが欠かせません。商品の詳細や在庫、顧客の履歴、支払いオプションやこれらすべてを見やすく提供するソフトウェアが必要です。

この時に注意すべきなのは、消費者側の接点だけチャネルを増やしてもある程度しか効果が望めない、もしくはコールセンター の業務が煩雑になるなどの弊害しか生まれないという事です。

コールセンター がオムニチャネルに対応するために選択するツールやソリューションは、バックエンドのCRMや在庫システム、決済関連のシステムとも連携していることがどうしても必要です。

表面的にWEBチャットやLINEでコミュニケーションが取れたとしても、CRMが統合されていないなら、そもそも問い合わせ窓口として機能せず、顧客情報やナレッジはあちらこちらに分散してしまう結果になります。

電話でコールセンター に電話した後、再度LINEで問い合わせた時に、チャットボットに「初めまして」と言われたら、そして再度、要件をテキストで送らなければいけないとしたら、そのコールセンター は消費者にとって「使えない」サポートになってしまう可能性があるのです。